TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

健康寿命をのばそう! 要介護にならないために、いま知っておくべきキーワード「フレイル」
2021.03.31 業界コラム

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「人生100年時代突入」、いろいろなところで耳にする言葉です。

現在、日本人の平均寿命はだいたい女性が87歳、男性が81歳となり、男女ともに統計を取り出してから過去最高齢となったそうです。

一方で、寝たきりや要介護の状態にならないまま生活できる「健康寿命」は、女性74歳、男性72歳というデータがでています。

平均寿命と健康寿命の差は、約10~12年。この差をどれだけ縮めることができるかによって、老後の人生は大きく変わってきます。健康でいられることは、生活の質を向上させ幸福度をアップできるだけでなく、医療費など金銭面での心配も抑えてくれます。

健康寿命を少しでも延ばすため、ぜひ知っておきたいキーワードを集めてみました。

要介護にならないために、「フレイル」を知ろう!

ここ最近話題になった「ロコモ」という言葉。正しくはロコモティブシンドローム(運動器症候群)といい、筋肉や骨・関節の衰えにより歩行や立ったり座ったりといった動作に障害があることを意味しています。

足腰を悪くすると、寝たきりになり一気に認知症がすすんでしまう……そんな話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

ロコモにならないために、運動機能の低下を防ぐことはとても重要です。しかしそこからもう一歩すすんだ、老化自体をできるだけ抑える新たな考え方が提唱されました。それが「フレイル」です。

「フレイル」ってどんな意味?

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「フレイル」とは英語の「Frailty(虚弱・老衰など)」を語源として、日本老年医学会が2014年に提唱した新たな考え方です。医療や介護の現場ではよく使われる言葉ですが、一般にはまだまだ広がっていない「フレイル」を知ることが、健康寿命を延ばすための重要なポイントなのです。

老化とともにだんだん体の機能が衰えていき、足腰が弱くなってしまい、結果として外に出る機会が減っていく。このサイクルに陥ると、運動機能だけでなく心の動きも弱くなってしまいます。

こういった、健康な状態から心身の機能が衰え、病気になりやすくなったり介護が必要になっていくことをフレイルと呼びます。

脳疾患などの後遺症や転倒事故以外で要介護になる場合は、いっきに要介護状態に陥ってしまいますが、フレイルはある程度の時間をかけて進んでいきます。そこで医学会では「フレイル予防」と「フレイルの段階を元に戻す」ことを推進しています。

「フレイル」の兆候を調べてみよう、ポイントは筋肉量と生活チェック。

自分や家族など、まだまだ元気だと思っていても「フレイル」の兆候があるかもしれない……それを簡単に知る方法があります。

フレイルは心身の衰えが始まる前からの予防を心がけることが最も重要なので、いち早くチェックしてみましょう。

筋肉量チェック

椅子に座った状態で両手の人差し指と親指でわっかを作り、自分のふくらはぎの一番太い部分を囲ってみてください。(このとき、足には力をいれず、利き足と逆側でやりましょう)

もし指のわっかが、ふくらはぎを囲めないなら通常です。わっかがふくらはぎをちょうど囲める場合は、ここから筋肉量が減らないように注意。もしも隙間ができている場合は筋肉が衰え始めている状態です。フレイルが進み、転倒や骨折のリスクも高まっていると考えてください。

日常生活、習慣チェック

大きくわけた3つの項目で、できている・できていない等のチェックをしてみましょう。

①「食事・口腔機能」のチェック
野菜や肉・魚などのバランスや健康に気を付けた食事を心がけているか、ある程度固いものを噛むことができるか、飲み物や汁物を口にするときにむせないか、など。

②「運動習慣」のチェック
汗をかく程度の運動を30分以上、週2回ほど行っているか、1日1時間以上の日常生活のなかの運動(家事を含めた歩行など)を行っているか、同じ年代の同性の人と歩く速度は変わらないかなど。

③「コミュニケーション・社会への参加」チェック
誰かと食事を一緒にとっているか、去年と比べて外出の回数は減っているか、物忘れが気になるかどうかなど。

以上の項目で「できていない・できない」が多くなってくるとフレイルが進行している可能性が高いです。

この筋肉量と習慣チェックは一度だけでなく、半年に一度程の頻度で行うことが有効とされています。自分や家族が日々どんな習慣で暮らしているのか、1年前と何か変わったと感じることがあるかどうか、自分自身だけでなく家族や友人たちとチェックしあってみてはどうでしょうか。

フレイル予防、3つの柱で今から始めよう!

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フレイルチェックで「できない」が多かった人も、まだまだ「できる」が多かった人も、今から予防を心がけてみませんか。予防を心がけることはフレイルの進行を遅くできる一歩。もしも進行していても「要介護」への段階を遠ざけることができます。

それでは、フレイル予防に気を付けるべき3つの柱を紹介します。

食べること、そして口腔機能のアップ

毎日の食事をバランスよく摂るのは、どの年代でも重要なこと。とくにフレイル予防に必要なのは「筋肉量・骨の強さ」と「栄養」を意識する食事です。

高齢になると食が細くなってしまうものですが、実は軽度の栄養失調状態になり筋肉量や骨の強さがいっきに低下することも少なくありません。そんな時には小量でもバランスよく栄養がとれる高カロリー食品もオススメです。

栄養バランスとともに重要なのが、口腔機能です。オーラルフレイルと呼ばれている口腔機能の低下とは、「噛む力」「飲み込む力」が弱ることです。口腔機能が低下してしまうと飲食物が気管に入ってしまい、肺炎などの原因になってしまうのです。

固いものが噛みづらい、水分を飲み込む時にむせてしまうと感じたら、そのままにせずに予防を心がけましょう。口周りの筋肉を刺激する体操や、嚥下機能を取り戻すリハビリなど様々な方法があります。自治体の地域包括支援センターや病院などで口腔機能アップのやり方や教室を開いているところもあるので、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。

毎日できる、ちょっとした運動の習慣を探そう

スポーツをしたり、ジムに通ったりなどの運動する方法はたくさんあります。しかし一番重要なのは、ずっと続けられること。とくに年齢があがっている人には、激しい運動は負担になる時もあります。少しだけ速足で散歩してみる、毎日の掃除でどれくらい動いているのかチェックするなど……ほんのちょっとの運動でも継続して行うことがフレイル予防の効果大です。

「予防のために頑張るぞ」という気持ちよりも、毎日なんとなく習慣的にできるほうが大事です。気負いせずできることを続けていきましょう!

実は最も重要な、人と人とのコミュニケーション

食事や運動に気を付けるのは、老若男女問わず健康のために大事なことです。

ですが、フレイル予防に一番効果があると言われているのは「コミュニケーション」、社会への参加です。出かけるのが面倒になった、誰とも会わず家にこもりごちになったという状況は、フレイルの最初の一歩となり、ここから運動機能や栄養状態が悪化することが多いのです。

3つの柱のうちの「運動」「食事」がちょっと手抜きになったとしても、「社会への参加」がきちんとできているとフレイル進行が遅くなる傾向があります。

趣味、ボランティア、就労など、社会とのコミュニケーションの方法は様々あります。友人となにげない会話をすることも、立派なコミュニケーションのひとつです。

自分に合った社会とのコミュニケーション方法は、すぐに見つかるものではありません。高齢になる前から自分のなかで何が好きか、どんなことをしている時が楽しいかを意識して、積極的に動くことを心がけましょう。

「フレイル」予防、興味を持ってみるところから健康に老いるための準備が始まります。ぜひ家族や友人とも「フレイル」について、話し合ってみてくださいね。