TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

行列対策は必要?不要?店・トイレにおけるデメリットとは
2021.09.15 業界コラム

ミニチュアの人々と便器

「行列のできる……」といえば、人気店を表す言葉のように思われています。しかし、お店の前に行列ができる理由は、ほかにもいくつかあります。また、仮に人気店であっても、実はそこに並んでいるお客様はフラストレーションを募らせているかもしれません。
また、お店などの商業施設ではもう1カ所、トイレの前にも行列が発生しがちです。こちらは間違いなくお客様のフラストレーションになっています。かといって、トイレをもっと大きくするのも簡単ではありません。代わりにできる行列解消策を紹介しましょう。

店舗・トイレなどで行列ができる原因とは

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当然ですが、お店の前の行列と店内のトイレの前の行列は、そのできる理由は全く異なります。

お店の前に行列ができる原因

最近では新型コロナウイルスの感染防止のために入店制限を設け、そのせいでお店の前に行列ができることもあります。しかし、そういった特別な事情がなければ、次の3つが行列ができる主な理由です。

1.お店の規模に対して、お客様が多すぎる
「人気店」ということなので、一見問題はなさそうに思えるかもしれません。しかし、この人気が、マスコミに取り上げられたり、口コミが一気に広がったりした結果であれば要注意です。潮が引くように、一気に客足が減ってしまうことがあります。「前に行ったときは、店に入るまでにものすごい時間がかかった」などの悪印象まであれば、さらにお客様の足が遠のきます。

2.スタッフの数が少ない・動きが悪い
飲食店の多くでは、客席まで案内し・注文を取り・調理し・料理を出し、最後に会計をします。小売店ならばもう少しシンプルですが、基本は変わりません。どこかで無駄に手間取っていたり、スタッフの手が足りていなかったりなどで、お客様が店に入ってから出るまでの時間がかかり過ぎていることがあります。先のお客様を送り出すことができず、その分、後から入るお客様が詰まって、店の前にまであふれている結果が、お店の前にできる行列です。

無駄に手間取ってしまうことによって料理が出てくるのが遅くなると、お客様にとって大きなフラストレーションの要因となります。

3.お客様が来るタイミングに偏りがある
定食屋ならば昼食時、お酒を出すお店ならばサラリーマンの帰宅時間など、特定の時間だけお客様が集中する場合があります。ある程度は仕方ないかもしれません。しかし、ちょっとした工夫で混み具合を調整できるならばそうしたいところです。その方が従業員にも余裕ができ、サービスも向上するでしょう。

上記のどの場合でも、最もリスクが大きいのが近隣からのクレームです。「行列でうちの店の前がふさがれて、客が入ってこない」、「待っている客の話し声などで騒がしい」、「たばこの吸い殻などのゴミをポイ捨てされる」などが考えられます。
また、がまん強く並んでくれるお客様ばかりとは限らず、行列を見てお店に入るのをあきらめる人もいます。機会を損失しないためにも、行列対策はしっかりと行う必要があるでしょう。

トイレで行列ができる原因

「混んで行列ができるのがわかっているのならば、もっと数を増やしてほしい」というのは、トイレで順番待ちをしたことのある人のほとんどが持つ感想ではないでしょうか。

しかし、客席や商品棚とは違って、トイレは直接的には売り上げを生みません。できればスペースを取りたくないのです。また、スペースを広く、便器を多くすると、その分清掃に手間とお金がかかります。混むとわかっていても、経営者らが便器を増やさない理由です。

「男子トイレはスカスカなのに、女子トイレは長蛇の列」が珍しくないのも、同じような理由です。

女性は一回にかかる時間が長くなります。しかも、全部が個室なので、一個一個の便器にも広いスペースが必要です。トイレはメイク直しの場にもなるので、さらにそれ用のスペースも作る場合があり、滞在時間も伸びます。もし、男子トイレと同じテンポで回転させるとなると、便器の数では男子トイレの数倍、スペースで考えるとそれ以上が必要になります。女子トイレを十分に作ってしまうと、店舗や施設の運営の大きな負担になるのです。

店舗の行列の解消方法

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たとえ、人気店ゆえのお店の前の行列であっても、放置するのは考えものです。それほど長くない行列ならば、「人気のあるお店なんだ」と思って納得して並んでくれるかもしれません。しかし、長くなりすぎると苦痛に感じ始め、なにもやっていない時間を無駄に思うかもしれません。以後は足が遠ざかることにもなります。
そんな行列を少しでも解消するための具体的な対策には次のようなものがあります。

整理券の配布をする

まず考えられるのは、整理券の配布です。最も一般的な整理券は、受付番号だけではなく、入店が可能になる時間を記入したものです。
最近では、「スマホ整理券」や「順番待ちシステム」といったアプリがいくつか出ています。お客様にすれば、従来の紙のものと違ってお店にまで行く必要はなく、スマホかパソコンさえあればどこからでも受け取ることが可能です。また、配るための人手がかからないだけではなく、来店頻度などのデータ管理もできるという、お店にとってのメリットもあります。

来店時間を分散させる

特定の時間だけお客様が集中する場合には、タイムサービスを用意してはどうでしょうか。たとえば飲食店ならば、「11時までに来店すれば、日替わり定食は200円引き」、「夜9時以降ならば、生ビール1杯が無料」などが考えられます。

スタッフの増員・作業動線の見直し

お客様への対応に手間取って回転が悪くなっているのならば、どこで時間がかかっているのかを、まず最初に確認する必要があります。注文取り・調理・配膳(はいぜん)などが考えられるでしょう。レジの数が少なかったりレジ係が少なかったりして、会計で待ち時間が長くなっている場合もあります。

それが分かれば、次に考えるのは時間がかかっている部分でのスタッフの増員でしょう。しかし、経営コストがアップするだけではなく、増員しても効果がないこともありえます。

スタッフの増員を考える前に、作業動線も見直してみましょう。例えば調理場内ならば、食材の出し入れ・調理・食器の引き下げ・食器洗いなどでの移動がかちあい、スタッフが互いの動きを邪魔している可能性もあります。これを直すだけでも、調理などの時間を短くできるでしょう。

不安を解消させる・待ち時間を短く感じさせる

行列に並んでいるお客様の不満を大きくするのは、「入店までどれだけの時間を待つかわからない」、「退屈する」などです。実際の待ち時間は短くならなくても、これらの解消も大事です。

たとえば、「ときどきはスタッフが店の外に出して、待ち時間のめどを伝える」「メニューをプリントしたものや、チラシなどを手渡す」などが考えられます。

トイレの行列の解消方法

先に見たように、トイレ、中でも女子トイレが混まないようにするには広いスペースが必要で、掃除などのランニングコストも高くつきます。飲食店やデパートなどの商業施設でトイレを設置する側にすれば、考えることは「できれば、コンパクトなままで済ませたい。できるだけ効率よく使ってもらえるようにしたい」でしょう。そのためには、次のような工夫が考えられます。

心理効果による誘導

トイレが混み合ってしまう理由のひとつに、「ドアの前まで行かないと、その個室が使用中かどうかがわからない」があります。そのためにうろうろする人が出てきて、スムーズに出入りできなくなるのです。

等々力陸上競技場(川崎市中原区)では、個室内部の壁を赤や青にしました。ドアの外側は白色です。つまり、ドアが閉まっていれば白色が、開いていれば赤や青が目に入るようになりました。これで、遠目からでも使用中・空きの違いが分かります。

あるいは、トイレ出入り口の照明はやや暗く、配色も寒色系、奥は明るくして、暖色系にした高速道路のパーキングエリアもあります。「暗い場所よりも明るい場所にひかれやすい」という人の心理を利用したものです。「手前ばかりが混み合っているが、実は奥には空きがある」状態が少なくなったといいます。

センサーで空きを表示する

少し前までは、遠隔で混み具合をチェックする手段はリモートカメラぐらいしかありませんでした。中の様子を画像で送り、目で確認するのです。しかし、見られたくない人が特に多いトイレでは、これは使えません。

今ならば、各種のセンサーとクラウドサービスを組み合わせる方法があります。個室ひとつひとつに使用中かどうかをチェックするセンサーが付けられるだけではなく、入り口の前の床にも人の並び具合が分かるセンサーを置くこともできます。あとは、情報をネットで流せばいいだけです。

リモートカメラとは違い、トイレを利用している人のプライバシーを侵害することはありません。しかも、情報を手に入れるのに必要なのはスマホだけで、お客様ひとりひとりが利用できます。これで、お客様らは「ほかのフロアならばトイレが空いている」「今、混んでいるみたいだから、少し待ってから行こう」といった判断ができます。その結果、混み合っているトイレも減り、情報をチェックしていないお客様にまでメリットがあります。

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※関連ページ:センサーでトイレの混雑・トイレのお悩みを解消するサービス「TERAS PLACE」

長い行列は、お客様軽視と受け取られる可能性がある

「行列があることこそが、おいしいお店の証拠」といった信念のようなものを持っている人の話も耳にします。

しかし、お客様に時間を無駄にさせているのも確かで、フラストレーションをためながら並んでいる人もいるはずです。なんの工夫もしなければ、「お客様軽視」と受け取られて、やがて人気も去ってしまうかもしれません。また、行列を巡っての近隣とのトラブルも珍しくありません。

これがトイレ前の行列となると、プラスに考えるお客様などまずはいないでしょう。

どちらも、しっかりと対策をしましょう。長く安定的に経営するには欠かせないことです。