TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

コロナ禍における病院清掃とは? 防疫対策を解説
2021.09.08 業界コラム

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病院の清掃には防疫の一面があることは、以前から当たり前の話だったかもしれません。しかし、これほどまでに「清掃をおろそかにすると、院内感染に直結する」との脅威を与えた感染症(伝染病)は新型コロナウイルス感染症が初めてではないでしょうか。
病院関係者はもちろん、委託を受けている清掃会社にも防疫についての新しいノウハウが必要となり、病院とのかかわり方にも積極性が求められています。

防疫とは

防疫とは、感染症の発生・流行を予防することです。新型コロナウイルス感染症の流行で、政府が緊急事態宣言を出したりまん延防止等重点措置をしたりして、外出自粛を要請するのも、具体的な防疫の一部です。

今回の新型コロナウイルス感染症ほどではないにしても、国を挙げて防疫に追われたことは何度もありました。たとえば、「ウシ海綿状脳症(狂牛病)」があります。もともとはウシやヒツジなどの伝染病です。
その脳や脊髄(せきずい)を食べることで、人間にも伝染る可能性があるとされています。そのため、政府はウシ海綿状脳症の発生国からの牛肉輸入を一切禁止しました。また、国内でも30カ月を超える牛の頭部(舌・ほおを除く)や脊髄などは廃棄が義務付けられました。ただ、海外でもウシ海綿状脳症の発生が激減したために、輸入禁止については順次条件が緩められています。
一方で、特定の部位の廃棄義務は現在も継続中です。これら輸入禁止や廃棄義務も防疫の一部で、これから説明する「感染源を遠ざける」、「感染経路を作らない」ためのものといえます。

コロナ禍における病院の防疫の課題

コロナ禍における病院の防疫の課題

「感染源」、「感染経路」、「個体の感受性」を「感染症発生の3大要素」あるいは「感染の連鎖」といい、この3つがそろったときに感染症(伝染病)が発生します。逆にいえば、この3つがそろわないようにするのが防疫です。新型コロナウイルス感染症についても例外ではありません。

そのそれぞれについて、医師・看護師やそのほかの病院スタッフに則して考えると、次のような対策の実施が課題になるでしょう。事務職員や清掃スタッフなど、特段の医療知識のない人は特に要注意です。

感染源

感染源対策は、一般的には第一に考えるのは「患者や保菌者との接触を避ける」、「患者らを隔離する」です。しかし、病院は逆に患者らを迎え入れるところです。診療科などによる程度の差こそあれ、新型コロナウイルス感染症でも、現実には感染経路を完全に断つのは困難だといえるでしょう。

現状では、嘔吐物(おうとぶつ)・排泄物(はいせつぶつ)・血液・分泌物などを感染源として警戒されています。見落としてはいけないのは、使用した器具・器材です。あるいは、嘔吐物や器具に触った手指も同様に感染源になりえます。これらを扱う可能性がある場合には、手袋・マスク・エプロン・ゴーグルを着用するだけではなく、それらを外した後は必ず手指を消毒しなければいけません。

感染経路

新型コロナウイルス感染症では、マスメディアを中心に「感染経路が不明」といった話がよく出ます。この場合の「感染経路」は、主に「だれから感染した」「どこで感染した」を指すようです。例えば「居酒屋で大人数の会食に参加し、ほかの参加者から感染した」がこの場合の感染経路の実例です。

もちろん、病院スタッフもこの種の感染経路への警戒は必要です。これに加えて、病院施設内での「感染経路別予防策」も考えなければいけません。「空気予防策」「飛沫(ひまつ)予防策」「接触予防策」の3種類があります。

「空気予防策」は直径5μm以下の飛沫に対するものです。これだけ小さいと、ウイルスを含んだ飛沫は長時間空中を浮遊し続けます。診察室や病室などは十分な換気をするだけではなく、室外にウイルスをばらまかないための陰圧の管理も不可欠です。空調設備から見直す必要があります。世界保健機関(WHO)は新型コロナについては、このような空気を通しての感染(空気感染)は、可能性が低いと見ています。しかし、異論を持つ専門家も多く、警戒しておくにこしたことはありません。

「飛沫予防策」は直径5μm以上の飛沫に対するものです。せきやくしゃみ、会話の時に飛ぶつばなどを考えればいいでしょう。すぐに落下し、1m程度しか飛びません。ですから、人と人は1m以上の距離を置き、それよりも近いときはサージカルマスクなどを着用します。

「接触予防策」は、人と人が直接触れたり、感染者が触れたものに触れたりすることへの警戒として行います。基本中の基本は、手指の消毒です。さらに、必要に応じて手袋・マスク・エプロン・ゴーグルを着用します。また、「接触予防策」と同じ内容は、「標準予防策」と呼ばれ、感染経路対策のベースです。空気予防策や飛沫予防策が実行されている場合でも、同時に行う必要があります。

個体の感受性

この場合の「感受性」とは、感染症へのかかりやすさをいいます。これへの対策は病院スタッフでもそのほかの人でも変わりません。予防接種を受ける、体調管理をしっかりとして健康を保つなどです。

「清掃」の観点から病院の防疫のポイント

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では、どのようにすれば、清掃会社や清掃スタッフが病院内の防疫で貢献できるのかを見ていきましょう。

病院清掃の目的

まず、病院を清掃する目的には次のようなものがあります。

(1)外来・入院を問わず、患者に対する快適で安全な療養環境の提供
(2)治療と看護が適切に行われるための環境整備
(3)感染経路の遮断
(4)医療スタッフや出入りの業者などすべての病院関係者に対し、安全で快適な労働環境の提供
(5)建物や設備の維持と保全

これらのうち、直接的に防疫になっているのは、(3)の「感染経路の遮断」です。ウイルスや病原菌をもった人が触れたものを適切に清掃・消毒することで、次の人への感染が防げます。「『感染経路別予防策』のうちの『接触予防策』を実践する」と言い換えてもいいでしょう。

この感染経路の遮断はほかの感染症でも必要なことでした。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染力は格段に高く、病状も重いために、いっそう重要になっています。

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コロナ病床清掃「対応可」の清掃会社は1割未満

ところが、清掃会社側の急な対応はなかなか難しいようです。

2020年12月、厚生労働省は、普段から病院からの仕事を請け負っている清掃会社の事業所1,000に対し、「コロナ病床の清掃が可能かどうか」の調査をしました。回答があったのは半分強で、「新型コロナウイルスの患者がいる医療機関にも対応できる」としたのはそのうちの88事業所のみでした。

清掃会社が対応しきれない理由のひとつとして、関係者は「防護服や消毒用品、それにスタッフのPCR検査など、清掃会社の負担が大きい」を挙げています。コロナ病床に対応できる清掃会社が確保できない病院では、看護師らが病床の清掃やリネンの交換をするしかありません。医療スタッフの人手不足と疲弊の大きな原因になっています。

防疫に強い清掃会社・清掃スタッフになるには

病院内の防疫に強く、新型コロナウイルスの患者がいる医療機関にも対応できるようになるには、次の点をクリアする必要があります。

感染についての正しい知識を持つ=「感染症発生の3大要素」は、たとえ清掃スタッフであっても持っておくべき知識の代表です。清掃の作業の上で必要になるだけではなく、自分の身も感染から守ることにつながります。

スタッフへの研修と清掃技術の向上=今はネットを通じてたくさんの情報があります。これらは玉石混交なのを忘れてはいけません。知識の獲得をスタッフ個人個人に任せてしまうと、間違った情報まで信じてしまいがちです。会社として正しい知識を収集・取捨選択し、それをスタッフの間で徹底しましょう。そのためには、研修が欠かせません。実際に使う清掃道具についての情報や、それを使う技術の向上も、研修を通して徹底します。

個々の感染対策の徹底=研修をしただけでは、現場で実践されるとは限りません。実践状況のチェックのシステムや、スタッフに対する評価システムも用意する必要があります。

感染発生時の対応の準備=どれだけ十分に体制を整えたつもりでも、病院にクラスターが発生したり、清掃スタッフから感染者を出したりする可能性はあります。そのときの対応の手順を決め、マニュアル化もしておき、あわてなくていいようにしておく必要があります。

病院との連携=(1)〜(4)は清掃会社だけが理解するではなく、病院との連携が必要です。すでに、合同のミーティングなどを行っているところも多いでしょう。これが形式的なものにはならないようにしなければいけません。また、ミーティングのような機会だけではなく、日常的にも連絡が取れる体制も必要です。

(1)〜(5)のいずれもが、新型コロナにかかわりなく必要なことでした。新型コロナの脅威が去ることがあっても、これらの高いレベルは保ちたいところです。

防疫に効果がある製品の利用を検討する

新型コロナウイルスの流行の収束の見通しが立たないなか、使用する清掃道具の見直しも防疫につながる重要な選択肢の1つといえるでしょう。
たとえば、弊社の「FXウェット除菌クロス」は塩化ベンザルコニウムを0.05%配合し、99.9%という高い除菌率を実現。感染リスクの低下につながるディスポーザブル(使い捨て)な清掃に適したクロスとなっています。
また、制菌・防臭効果を備えた「FX制菌クロスTioTio」や床掃除用のモップの替糸に制菌加工を施した「FXメッシュ替糸ループ」など、身近な清掃用具を変更するだけで防疫の強化を期待できます。
このように変更しやすい清掃用具から見直してみることをおすすめします。

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除菌と洗浄が同時にできる「FXウェット除菌クロス」

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優れた制菌力と抗菌防臭(TioTio加工)を兼ね備えた「FX制菌クロスTioTio」

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制菌加工糸を使用した、衛生効果が高く病院などに最適な「FXメッシュ替糸ループ」

清掃会社は、病院にとっての心強いパートナーになろう

これまで日本でも流行した、あるいは流行の脅威が迫った感染症には、近代以降だけでもスペインかぜ(1918年)、エイズ(1981年)、高病原性鳥インフルエンザ(1997年)などがあります。その度に、病院やクリニックなどの医療機関は対応に追われてきました。

今回の新型コロナウイルス感染症の流行では、医療スタッフだけではなく清掃スタッフにも大きな負担がかかっているのは確かです。しかし、同時に、医療現場の防疫を担う存在して注目を浴びているともいえます。清掃会社や清掃スタッフは病院にとってのパートナーとして、しっかりとその役割を果たすことが求められています。