TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

【業界人向け】シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルの繁忙期と閑散期まとめ
2020.03.18 業界コラム

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フロント客室清掃員などの職種を問わず、ホテルスタッフは常に時間と効率に追われています。その日の業務量を図るうえで重要なのが「客室稼働率」です。
客室稼働率はホテルの立地や種類、時期、周囲のイベントなどによって異なりますが、今回はビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルの大まかな客室稼働率の特徴について解説します。
全体的な傾向を把握したうえで職場であるホテルの年間の人の流れを理解しましょう。

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観光庁が調査。直近の全ホテルの稼働状況

それぞれのホテルの特徴を解説する前に、ホテル業界全体の稼働状況を観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」から、2019年4月、5月のデータを元に紹介します。
2019年4月の宿泊者数は4560万人と前年同月比+9.4%を記録。5月はさらに増え、宿泊者数は4812万人、前年同月比は+8.3%でした。
特筆すべきは4月の宿泊者数で、日本人の宿泊者数は3645万人と過去最高。さらに外国人の宿泊者数も1006万人と調査開始以来の最高値でした。

■2019年4・5月の宿泊者数

全体 日本人 外国人
2019年4月 4,650 3,645 1,006
(前年同月比) 9.40% 8.40% 13.30%
2019年5月 4,812 3,917 894
(前年同月比) 8.30% 6.9 14.50%

同調査では、宿泊施設のタイプ別に稼働率を明らかにしています。まずは下の表を確認してください。

■2019年4・5月の宿泊施設別の稼働率

全体 旅館 リゾートホテル ビジネスホテル シティホテル 簡易宿所
2019年4月 64.7 39.4 57.5 78.9 82.8 32.8
(前年同月差) +3.8 +3.2 +1.8 +2.8 +0.7 +3.0
2019年5月 63.2 41.3 60.8 76.0 80.5 32.3
(前年同月差) +2.6 +2.0 +4.0 +1.8 +0.4 +2.6

4月の全体の客室稼働率は64.7。5月は63.2%。客室稼働率が80%超だった都道府県は、最高値だった大阪府のほか、リゾートホテル3カ所、ビジネスホテル12カ所、シティホテル14カ所にでした。
ビジネスホテルの客室稼働率が前年よりも5カ所増え、特に好調だといえます。

※出典:観光庁宿泊旅行統計調査(平成31年4月・第2次速報、令和元年5月・第1次速報)

ビジネスホテルの繁忙期と閑散期

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各ホテルとも順調に客室稼働率を伸ばすなかで、特に伸長が著しかったのがビジネスホテルです。まずはそのビジネスホテルの客室稼働率や繁忙期、閑散期の特徴を解説します。
年間の稼働率を比較すると、ビジネスホテルの閑散期の底は1月で、ゴールデンウィークの5月にかけて徐々に上昇。そして8月と秋の旅行シーズンにピークを2度迎える傾向があります。これは後述するシティホテルも同様なので、ビジネスマンが対象のホテルとはいえ旅行客が稼働率に大きな影響を与えていると考えられます。

ビジネスホテルの客室稼働率の特徴

都市部に多いビジネスホテルは、立地や周囲の環境に特に大きな影響を受けやすいとされています。
東京や大阪、名古屋などの都市圏では安定した稼働率が見込める一方、地方では新幹線の停車駅付近など集客できる立地は限られる傾向があります。
反対に付近で大規模な学会などが開かれる際は客室稼働率が跳ね上がるなど、ホテルそのものが宿泊の目的にならないため、周辺施設の稼働状況に左右されやすいとされています。

シティホテルの繁忙期と閑散期

シティホテルはビジネスホテルと同様、都市部に多いタイプのホテルです。
実はシティホテルとビジネスホテルの違いに明確な定義はありません。一般的にビジネスホテルはビジネストリップ(出張者)向けで、シティホテルはより広義の利用客に適した客室だとされおり、レストランやスパ、フィットネスなどの施設が充実しています。シティホテルの客層は「観光客」、「ファミリー層」、「団体客」などが挙げられます。客室稼働率に影響するのはファミリー層と団体客で、一度に大人数が宿泊する期間はホテルスタッフも忙しくなりがちです。

シティホテルの客室稼働率の特徴

シティホテルの繁忙期と閑散期は、基本的にはビジネスホテルと似通っています。
客室稼働率は1月から5月にかけて上昇し、8月と9月にピークを迎え、年末には低下します。
ただし、前述したファミリー層や団体客がビジネスホテルと比べて宿泊するケースが多い分、稼働率は高くなる傾向があります。

リゾートホテルの繁忙期と閑散期

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リゾートホテルの客室稼働率は、ビジネスホテルとシティホテルと比べると旅行の閑散期と深く関わっています。
旅行の閑散期は、大きく分けると4つに分類されます。以下で確認してください。

■旅行の閑散期(オフシーズン)
・1~2月
スキー場のホテルなど、冬期に特化した旅行先にあるリゾートホテルを除き、寒さなどの環境が旅行に適さないことが多いため、客室稼働率は低下する傾向。
・4月上旬
新生活が始まるため、自身の生活にさくお金や時間が多くなる時期。旅行の意欲が低くなることでリゾートホテルの客室稼働率が低下する。
・5月後半
旅行の一大ピークであるゴールデンウィーク明けの反動で旅行客が減少する。また、6月は祝日がないことも客室稼働率の低下につながる
・12月
年末は仕事などが忙しいことに加え、帰省者が多いため、リゾート地の稼働率は低下しやすい。

上記はあくまで一例にすぎませんが、大まかな傾向として覚えておいて損はありません。
前述のとおり、リゾートホテルの稼働率は付近の観光地に訪れる人によって大きく変わります。
また都道府県別でもその格差は大きく、「宿泊旅行統計調査」では2019年4月では大阪府のリゾートホテルの客室稼働率が90.3%だった一方で、北海道は30.6%と約60%以上の差が生まれています。
このように同じ時期であっても、都道府県によってピークが異なるケースは珍しくありません。
リゾートホテルで働いているホテルのスタッフは、勤務する宿泊施設の年間の稼働率を先輩や上司に尋ねてみることをおすすめします。

客室稼働率と客室清掃の関係性

一般的に、客室稼働率が高いほど清掃しなければならない部屋数が増えるので、客室清掃員にとっては業務の負担が増えてしまいます。
ただ、考え方を少し変えるホテルの繁忙期は客室清掃員にとって「稼ぐチャンス」でもあります。特に外注でホテル清掃を請け負う業者に務めている客室清掃員は、閑散期は管理者から「明日は休んでくれませんか」とお願いされることも珍しくありません。閑散期の収入が繁忙期と比べると半減してしまうこともあるのです。
つまり、年間を通して一定の収入を得るためには、繁忙期でどのくらい仕事をこなせるかが重要なのです。

客室稼働率が大きく変化するリゾートホテル、シティホテルは特に上記の傾向が強く、従来のビジネスホテルは客室稼働率が安定しやすいという特徴がありました。
ただし、東京オリンピックやインバウンド需要に対応したホテル増の影響で、どのホテルも人手不足が顕著になりつつあります。

客室稼働率の向上に対応した客室清掃を

ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルの繁忙期と閑散期、客室稼働率について解説しました。
どのホテルにも客室稼働率の高低がはっきりとしている時期がありますが、全体的には客室稼働率は上昇しつつあります。
各ホテルは人材の確保とともに、テラモトの「ホテルリネンワゴン」のような業務の効率化、客室清掃員の負担軽減を実現する設備を導入する必要があるのではないでしょうか。

※関連ページ:「ホテルリネンワゴン」

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