TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

年末の大掃除の由来「すす払い」から学ぶ、現代でも忘れてはいけないホコリ掃除。
2019.11.06 お掃除コラム

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年末の大掃除の由来「すす払い」とは?

現代では、年末に行われる大掃除。その由来となったのが、「すす払い」と呼ばれる年中行事です。

「すす払い」の歴史は古く、始まりは平安時代の宮中行事だったと言われています。
なんと平安時代の法律についてまとめた書物『延喜式(えんぎしき)』には、「すす払い」をどのような手順で行うのか詳しく書かれてありました。
この頃はただ単に宮中を掃除するというだけでなく、厄払いの意味が強く込められた儀式として捉えられていたようです。
その後、室町時代に入ると「すす払い」は神社仏閣を中心に、仏像や本堂を清める行事となりました。

庶民の間にこの習慣が根付き始めたのは江戸時代と言われていますが、年に一度の大掃除という現代の認識とは違い、当時の人々は半月かけて行われるお正月準備の最初に行うのが「すす払い」でした。
すすと一緒に一年間の厄を払い、清らかになった家で門松やしめ縄といった縁起物の用意をして新しい年を迎えることが、当時の人々にとって大変重要な行事だったそうです。

日本で一番有名な「すす払い」

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そんな歴史の一幕を今でも垣間見られるのが、毎年12月20日に京都の東本願寺、西本願寺で行われる「すす払い」です。
その始まりは今から500年ほど前で、本願寺中興の祖・蓮如の時代から現代に至るまで続いている大事な行事となっています。
両本願寺の大きな本堂を100人以上の僧侶たちで掃除するという行事ですが、東と西で、それぞれ「すす払い」のやり方が変わっているのも特徴的です。
西本願寺では、僧侶や一般参加者たちを合わせて約600人以上の人々が数百畳もある広い本堂の畳を、中央から外側へ向かって竹の棒で叩き、大きなうちわでホコリを掃き出していきます。

一方、東本願寺では僧侶と門徒たちが横一列にまっすぐ並んで、端から順に叩いていくというやり方です。
白い手ぬぐいを頭にかぶり、竹の棒と大きなうちわを手に持った人々が一斉に畳を叩いてゆく光景は圧巻の一言で、年末の風物詩としてニュースにも取り上げられるほど。
日本で一番有名な「すす払い」とも言われています。

どうして「すす」払いなの?

古くは平安の時代から、庶民に根付いた江戸時代を経て、新年を迎えるにあたって大事にされてきた行事「すす払い」は、現代では「年末の大掃除」へと変わりました。
今では大掃除の由来である「すす払い」という言葉を知らない人たちのほうが多いのではないでしょうか。現代の暮らしのなかで「すす」を見かけることがほとんどなくなったのもその理由のひとつかもしれません。

現代と違い、電気のない時代は暖房や炊事、そしてお風呂に至るまで、炭や薪を燃やす必要がありました。換気扇といった便利なものはなく、室内に置かれたかまどで炊事をすると、天井はすすで黒く染まったそうです。
当時の照明器具だったロウソクや行灯(あんどん)の油からも、燃えカスがたくさん発生したといわれています。
それらから発生する燃えカスがホコリと一緒になったものが「すす汚れ」です。
「すす汚れ」は空気に乗って天井にたまっていくため、人々は年末の大掃除の際に長い竹ボウキやハタキを使って払い落としていました。
ほんの数十年前まで、各家庭ではこんな年末年始の光景が当たり前にあったそうです。

映画『となりのトトロ』に出てくる“まっくろくろすけ”という黒い不思議な生き物は、こんなふうに天井にたまったすすをイメージして作られているのかもしれませんね。

現代でもやってほしい「すす払い」

さて、時代が代わり現代。エアコンや電化製品を使う私たちの生活で「すす」が出ることはほとんどなくなりました。数十年前まで見られた、天井の角に黒ずんだ汚れがたまっている様子を目にすることもありません。
年末に大掃除をする時にも、時代劇や神社仏閣で行われている「すす払い」のような天井を掃くという掃除方法はなかなか見かけなくなりました。

しかし、「すす」だけが天井にたまるものではありません。

目には見えないホコリがたまる場所――それが、壁や天井なのです。
一般的に部屋の掃除と聞いてイメージするのは、掃除機やフローリングモップを使った床掃除、最近ではロボット掃除機が自動で行う光景が多いことでしょう。
食べ物をこぼしてしまったり、ホコリや髪の毛が落ちているのに気づいたりして、日々の生活のなかで一番掃除する回数が多いのは、床ではないでしょうか。

家のなかでもっとも広い場所

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日々の掃除のなかで、床掃除をこまめにしているにも関わらず、気づいたら白いホコリが家具やテレビなどに積もっている……そんなこと、よくありますよね。
実は、天井や壁にたまっているホコリが落ちてきているのです。

ホコリの原因となるものは、布製品・外出時についてきた塵や花粉・髪の毛・紙クズのかけら・ペットの毛等、様々です。
普段は目に見えないほど細かくなったホコリは、エアコンや人の出入りなどで起こるほんの少しの空気の動きに乗って部屋中を飛び回ってしまいます。
現代における「すす」ともいえるホコリは、壁やカーテン、そして天井付近に発生している微細な静電気にひきよせられていきます。
また現代の住宅は気密性が高く、日々の生活のなかで窓を開けて換気する機会も昔に比べて少なくなっていることが、ホコリがたまりやすい原因のひとつと言われています。

床と同じ面積を持つ天井と、四方に立つ壁は家のなかでもっとも広い場所。
そんな広さに少しずつたまってゆくホコリは、日常的に気づきにくいため、掃除をうっかり忘れがちになってしまうのかもしれません。

忘れてはいけない「天井のお掃除」

お掃除の基本は、上から下へ――というのは、よく言われることですね。
例えば天井付近の照明カバーを掃除したり、背の高い家具やカーテンレールの上部のホコリをモップで撫でるお掃除は、誰もがよくやる方法です。
高いところからホコリを落とし、最後は床掃除をするとスッキリした気分になります。
そんな時にふと思い出してほしいのが、天井や壁のホコリのことです。

ホコリは部屋のなかの微かな静電気で壁や天井についてしまいます。掃除は窓を開けて行うイメージが強いものですが、実は空気の対流も静電気発生の理由のひとつなのです。
なので、ホコリを天井や壁から落とし、床の掃除をする一連の流れは窓を開けずに行い、掃除が終わってから換気することをおすすめします。
また、ホコリ掃除に使用する道具も、静電気の起こりにくい天然素材で作られたもの、静電気除去の導電繊維などが使われた「除電」作用があるホウキやモップ、ハタキを使うことが重要です。

ホコリは、カビ・ダニ・細菌などのすみかでもあり、風邪や喘息、アレルギーの原因にもなります。江戸時代の人々が一年の「厄」を払っていたように、普段はあまり目をやらなかった天井の角や壁面との境目を、そっとホウキやハタキで掃いてみてはいかがでしょうか。