TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

清掃のプロなら知っておくべき抗菌、除菌、殺菌、消毒、滅菌の違い
2020.04.22 業界コラム

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最近、コロナウィルスやインフルエンザの影響で、衛生面に注意する人が増えています。清掃の現場スタッフも、業務上や自身の菌の対処法について意識する人が多いのではないでしょうか。そこで今回は、現場よく目にする抗菌、殺菌、滅菌、除菌の違いについて解説します。

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菌の増殖を防ぐ「抗菌」

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衛生用品や衣類などで目にすることが多いのが「抗菌」です。抗菌の定義は、経済産業省が作成した「抗菌加工製品ガイドライン」で「抗菌加工した製品の表面上の細菌の繁殖を抑制する」とされています。
また、JIS(日本工業規格)では、抗菌加工した製品と通常の製品比べて、表面の細菌が100分の1以下だった場合に「抗菌効果がある」とされると規定しています。
つまり、後述する殺菌のように菌を殺して減少させる効果は保証されていません。また、抗菌処理の方法も複数あり、文房具や衣類などの商品によって異なります。その一例を紹介します。

抗菌処理の方法1:抗菌剤を練り込む

衣服の抗菌処理によく使われるのが「抗菌剤」を素材に練り込む方法です。抗菌剤はカテキンなど、細菌が繁殖しにくくなる成分です。
衣服の場合は繊維のうえに接着剤になる「バインダー」をコーティングし、その上に抗菌成分を付着させることで、抗菌作用を持った商品を製造します。

抗菌処理の方法2:金属を利用する

銅、銀、チタン、亜鉛などの金属は一部の細菌を寄せ付けない効果があります。特に銀は無機系抗菌剤として使われており、抗菌スプレーなどは銀の成分を含むことが一般的です。
また、有名な大腸の一種「0157」の繁殖実験では、銅片を置いた場所では増殖が見られなかったことから一定の効果があるとされています。

抗菌処理された代表的な商品

抗菌処理された商品は、1980年代に「潔癖症」という言葉が流行してから幅広いジャンルで発売されています。

■抗菌処理された商品
・洗口液
・便座クリーナー
・文房具
・台所用品
・衣類(特に肌着)
・建材
・カーテン
・家電
・日用雑貨

このように幅広い業界で活用されている抗菌グッズですが、そのなかでも清掃業界は抗菌とは切っても切れない関係にあります。
清掃用具をより清潔に保つために、抗菌処理されることが一般的です。

■テラモトの抗菌処理した清掃用具・備品
・抗菌安全スノコカー
・抗菌防臭トートバック
・抗菌ペーパータオル
・バスマット
・タイルマット
・吸油マット

上記の製造用具・備品はごく一部ですが、このように抗菌処理した用具を選ぶことは、ごく一般的になっています。ただし、前述したとおり、抗菌はあくまで細菌の繁殖を抑制するものであり、殺菌や除菌効果は期待できません。また、抗菌処理していたとしても不衛生な環境に放置すれば菌が繁殖してしまう恐れがあるので、注意しなればなりません。

※関連ページ:テラモト2020年カタログ

菌を死滅する「殺菌」

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抗菌と並んで目にする機会が多いのが「殺菌」と表示された商品です。文字通り「菌を殺す作用」という意味ですが、殺菌は抗菌と比べるとより厳格に使用できる製品などが定められています。医薬品などの製造、表示、広告などを定めた「薬事法」の対象である医薬品、もしくは医薬部外品にのみ使用が許可されています。
つまり、抗菌のように日用雑貨などには使用できず、業務用の清掃用具でも「殺菌作用を持つ道具」として販売することはできません。

ただ、このように厳しく使用が制限されている「殺菌」ですが、実は菌を殺す対象やその範囲、程度は明記されていません。同じ殺菌作用があると表記されていても商品によって、その効果が異なることを覚えておきましょう。

殺菌処理の方法

殺菌処理の方法は、塩素を使用する「塩素殺菌」、オゾンにより発生する酸素で菌を溶かす「オゾン殺菌」、紫外線を照射する「紫外線殺菌」の3つの方法があります。いずれも清掃現場での殺菌作業に使われます。それぞれ一長一短あるものの、一般的には消臭などの効果もあるオゾン殺菌が最も装置が高く、塩素殺菌は安価な傾向があります。このように幅広い殺菌ですが、その程度によって「滅菌」、「除菌」に分けられます。それぞれを解説していきましょう。

菌を全滅させる「滅菌」

今回紹介する「●菌」のなかで、最も菌を死滅させる際の言葉が「滅菌」です。殺菌の中に含まれる言葉で、すべての菌を死滅させて除去するという意味があります。ただし、本当に対象の菌を100%除去するわけではありません。法律でも「菌の●%殺すことを滅菌」と定められてはいないのです。日本の薬局では「100万分の1以下になれば滅菌」と定義付けされているものの、法的な拘束力はありません。

滅菌の方法

滅菌の方法は、蒸気を使って加熱する「高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)」、乾燥した空気中で加熱する「乾熱滅菌」、煮沸する「煮沸消毒」などがあります。そのなかでも滅菌処理の時とコストが比較的軽い高圧蒸気滅菌が一般的に利用されています。清掃の現場においても、病院・ホテルなどの衛生の状態に特に配慮すべき場所では、高圧蒸気滅菌したゴム手袋やリネン類を使うことがあります。

有害物質を無害化する「消毒」

滅菌と同じような言葉に「消毒」があります。消毒は、広義と狭義の意味があります。

消毒の意味

・広義
人体に有害な物質を除去、または無害化すること
・狭義
ウィルスや細菌の能力を減退させること

殺菌や滅菌との違いは、「菌を殺さずに病原性を無効にする」という消毒方法があることです。同様に後述する除菌との違いは、「必ずしも菌を除去するわけではない」ということも覚えておきましょう。また、消毒も殺菌と同じく薬事法によって表記等が定められている用語です。

消毒の方法

消毒の方法には、身近なアルコール類や塩素系の成分を含んだ薬品のほか、煮沸、日光、紫外線、蒸気などがあります。

菌を減らす「除菌」

菌を殺すよりも取り除くことを意味するのが「除菌」です。清掃現場では除菌シートなどを使用することは珍しくありませんが、実は除菌にも明確な成分などの定義はありません。同じ場所を「除菌」と表示されていないシートで拭いても、一定の菌は取り除かれるという意味では同じ除菌として扱うことも可能です。
その一方で言葉の意味としては、食品衛生法にて「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去すること」、洗剤・石鹸公正取引協議会の見解では「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」と定められています。

抗菌、殺菌、滅菌、除菌の正しい意味を理解しよう

清掃現場や日常生活で耳にすることが多い、「●菌」について解説しました。清掃のプロとしてそれぞれの違いを明確にしておいて損はありません。コロナウィルスの流行などにより、衛生意識が高い人が増えているので、いざという時に特徴を端的に話せると「デキる清掃員」として周囲の視線が変わるかもしれません。特に薬事法によって、表示規定がある殺菌と抗菌の違いについては、少なくとも理解することをおすすめします。

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