TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

働き方改革に対応している?ビルメンテナンス・清掃業界の先進事例
2021.03.24 業界コラム

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皆さんの会社は働き方改革に対応していますか。コロナ禍ということもあり、大手企業ではリモートワーク等が普及しましたが、未だ導入していない会社も多いと思われます。

そこでこの記事では働き方改革の概要や得られるメリットについて、導入事例を交えつつ解説します。今回はビルメンテナンス・清掃業界の事例を中心に解説するので、当業界に従事されている経営者の方はぜひご覧ください。

清掃・ビルメンテナンス業界の働き方改革の概要とメリット

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働き方改革とは、労働力人口減少などの諸問題を解決する施策です。時間や場所にとらわれない働き方や労働時間の是正等を目指します。少子高齢化による人手不足が問題視されている昨今、国が主導となり推進しています。とりわけ清掃・ビルメンテナンス業界ではまさにその「人手不足」が深刻なので、働き方改革に対応した方が経営的メリットは大きいと言えるでしょう。

具体的な対応方法の一例が「ドローン」の活用です。本業界は安定収益が見込めるというメリットがありながら、肉体労働かつ危険を伴うという特性から、敬遠されがちな側面もありました。しかし、ドローンを活用することで社員が高所での作業をする必要がなくなり、現場への移動時間を削減したりすることも可能なのです。このように業務効率化を図ることで、会社のコストを削減し、限られた人材を有効に活用しましょう。

以下では清掃・ビルメンテナンス業界に働き方改革を導入することで得られるメリットについて、会社、社員のそれぞれでまとめます。

働き方改革のメリット:会社

・業務効率化
・作業品質が安定
・残業が減り、人的コストが下がる
・ロボットを使うと、リソースに余裕ができる

働き方改革のメリット:社員

・社員1人当たり作業負担が軽減
・育児、介護等のプライベートな時間を確保しやすくなる
・心身の健康が守られる
・テレワークやフレックスタイムなどを活用すると感染症のリスクが減る
・ロボットを使うと、高所での危険な作業を避けられる

※出典:厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて

働き方改革のポイント

働き方改革に対応する上で大切なポイントは、いわゆる「3本柱」をおさえることです。具体的には「労働時間の是正」「多様な働き方の実現」「雇用形態による格差の解消」の3つを遵守していきましょう。ニュースでフレックスタイム制やテレワークなどの言葉が取り沙汰されることが増えましたが、それらはこの3本柱を実現させるための方法です。以下で3本柱の概要を解説し、清掃・ビルメンテナンス業界での導入事例は後の章で紹介します。

働き方改革のポイント1:長時間労働を是正する

長時間労働は過労死の原因になります。これを防止するため、時間外労働は月45時間、年360時間までに定められています。そうすることでワークライフバランスが整い、社員の心身の健康が保たれるのです。また、実現のためには厳密に労働時間を管理し、社員に無用な残業をさせないための工夫が必要です。これについてはタイムカードによる勤怠管理の事例を後述するので、残業を減らしたい場合は参考にしてください。
一方で、働き方改革が提唱されて以降も、うつ病などの精神疾患で休職に追い込まれる人は後を絶ちません。文部科学省の発表によると、2019年には過去最多の教職員が休職するという事態に陥ったようです。このような背景もありますし、そもそも時間外労働や休日出勤はできる限り抑えるものなので、労働時間の是正は積極的に取り組むべきポイントです。

働き方改革のポイント2:社員の働き方を多様化させる

働き方に対する社員のニーズは多様化しています。仕事と育児・介護を両立したいという意見もその1つです。これに対応すべく「柔軟な働き方」、すなわち労働時間と勤務場所が自由に選択できるような環境を整えましょう。以下はその一例です。

・フレックスタイム
・時短勤務
・テレワーク

従来であれば、社員は育児などで離職を余儀なくされましたが、人手不足が深刻な状況を鑑みて、働き方自体も多様化させることが推奨されています。特に今はコロナ禍ということもあるので、導入できる制度があれば活用するのが良いでしょう。

働き方改革のポイント3:正社員と非正規社員の待遇の格差を改善

日本では正社員と非正規社員の収入格差が問題となっています。最後のポイントはこれを改善することです。自社の待遇が改正法に沿った内容になっているかどうかは、厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書」などで確認できます。手当や基本給、賞与、福利厚生などの待遇が適正かどうか、手順書に沿って点検しましょう。
公正な待遇の確保に関する全般的な情報は、厚生労働省の特集ページに記載されているので、必要に応じてご確認ください。

※出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省

働き方改革の取り組み事例

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実際に働き方改革に対応した会社の事例を紹介します。ここで紹介するのは広島県広島市の不動産総合サービス会社で、ビルメンテナンス事業を核としています。従業員は2018年6月時点で802人です。ちなみに広島県公式HPの「働き方改革推進・働く女性応援課」の公式サイトにも掲載されている導入事例なので、優れたモデルケースになると思われます。

業務の自動化・効率化

この会社では人手不足と長時間労働の解消のため、業務効率化に取り組んでいます。具体的には、表の集計作業や資料の閲覧などについて、専用のソフトを使って自動化しています。また、清掃現場で作業員の代わりに清掃ロボットの活用を検討しており、現在は活用場所等を模索しているところです。
他にも以下のような工夫をすることで、無駄な労働時間を徹底的に削減しています。

・会議時間の短縮
長時間の会議は無用な議論を招きがちなので、最大30分と定めました。

・タイムレコーダーの導入
手書きの出勤表と残業申請を廃止し、代わりにタイムレコーダーを活用しています。残業は従来のように予定なく行うことはできません。残業する際は、事前に上司に残業申請を出し、上司がその必要性を判断した上で承認する流れになっています。無駄な残業を減らせるので会社側の人件費は削減され、社員側のワークライフバランスも向上します。

柔軟な勤務形態

勤務形態の工夫としては、育児に関する福利厚生と年齢上限のない雇用制度が特徴的です。

・育児時短勤務
育児時短勤務できる社員の幅を広げました。具体的には小学校卒業までの子供を持つ社員が、この制度を利用できるようになりました。なお、育児休業から復帰した女性社員が、育児時短勤務ながら役職に就いた事例があるなど、女性のキャリアアップを支援する体制が整っているのも特長的です。

・男性社員の育児休暇
配偶者が出産した場合、男性社員には特別休暇の取得が積極的に促されます。

・高齢者の勤務
定年退職年齢を62歳から65歳に変更しました。また、希望者はそれ以降も働ける雇用制度になっています。

これらの取り組みもあって、この会社では女性社員が数多く活躍しています。先述の広島県公式HPが公開しているデータによると、ビルサービス業における女性従業員の比率は全国平均よりも3.6%高い42.9%、さらに女性管理職比率も全国平均より2.7%高い11.5%となっています。
人手不足解消には一人でも多くの社員に活躍してもらう必要があるので、働き方改革導入の際は、このような事例を参考にするのも良いでしょう。

※出典:広島県「株式会社第一ビルサービス|働き方改革事例|事例を学ぶ – ヒントひろしま|広島県

働き方改革で会社と社員の両方にメリット

働き方改革を実施することで、清掃・ビルメンテナンス業界が抱える人手不足をカバーすることができます。AI技術を活用したりすることで社員の負担を軽減し、同時に会社にかかる人材コストも削減されるでしょう。

仮にロボット等が用意できなくても、本記事で紹介した「会議時間の短縮」や「タイムレコーダー」の導入など比較的ハードルの低い方法もあります。先行事例を参考にして自社で始められる範囲で業務効率化していきましょう。