TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

事例から読み解く。宿泊業の働き方改革の課題と解決法【客室清掃・フロント】
2020.05.28 業界コラム ホテル全コラム ホテル経営・マネジメント

2020年4月、「労働時間の上限規制」の中小企業の適用や大手企業で相次ぐ「副業解禁」など、働き方改革が各業界で活発化しています。宿泊業界・清掃業界も例外ではありません。働き方改革による労使、労基問題のリスク低減のためにも、ホテルの従業員と管理者の両者が当事者意識を持って対応しなければなりません。そこで今回は、客室清掃員やフロントスタッフを中心に、宿泊業界の「働き方改革」について解説します。

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働き方改革の概要とメリット

働き方改革とは、政府が抱える「一億総活躍者社会」の実現のための改革のことです。少子高齢化問題による労働力不足を解消するために実現しなければならない「働き手の増加」、「出生率の上昇」、「労働生産性の向上」を阻む、「長時間労働」、「非正規・正規社員の待遇格差」、「労働人口不足」を改善するための諸施策を総括した言葉と理解しておきましょう。
厚生労働省が発行した「働き方・休み方改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業編)」によると、働き方・休み方を見直すと以下のメリットが得られるとしています。

働き方改革のメリット:会社

・有能な人材の確保
・従業員の意欲向上
・一人ひとりの生産性アップ
・従業員の定着促進
・職場の活性化
・サービスの「質」向上
・企業イメージの向上

働く人のメリット

・プライベートの時間の充実
・育児、介護との両立
・心身が健康に
・やる気向上
・「他社」のサービス体験

働き方を見直すことは、会社・経営者にとっては「効率的な経営」、働く人は「無理なく、長く働ける」という両方のメリットを実現できるのです。
※出典:厚生労働省「働き方・休み方改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業編)

働き方改革のポイント:客室清掃などの業務改善と環境整備

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サービス業である宿泊業は「ある程度の厳しい労働環境は仕方ない」と考える人もいるかもしれません。ただ、実際に働き方改革が導入される以前に、働き方を見直して例もあるのです。まずは業務改善と環境整備のポイントを確認しましょう。

業務改善のポイント1:無駄な業務の削減

働き方改革によって、従業員の労働時間の把握が義務づけられました。これにより、組織全体の業務の棚卸をする必要が生じています。まずは部門毎(清掃・フロント・リネン管理など)にミスやトラブル、一部作業が重複している業務をピックアップしましょう。それらの業務の必要性から考慮し、改善することで効率的に残業時間などを減らせることができます。また、各業務にかけるべき「完了時間」を設定することで、無駄な作業の洗い出し・削減がしやすくなります。

業務改善のポイント2:サービスの見直し

サービスの費用対効果を計測し、効果が薄いサービスを見直すことでスタッフの業務負担を減らすことができます。この場合におけるサービスの「費用」は従業員の労働時間、効果は「お客様満足度(CS)」に設定し、従業員の負担の割に満足度が得られていないサービスを洗い出し、縮小することで効率的な経営と従業員の負担軽減を図れます。

業務改善のポイント3:業務のシステム化、設備導入

働き方改革の実現に「設備の導入」は欠かせません。設備にはIoTの導入から、客室清掃の清掃道具のような用品まで様々で、高価な設備でなくても業務の効率化や作業スピードの向上に大きな効果を発揮するものがあります。

■事例:テラモトの「ホテルリネンワゴン」
客室清掃における「作業の無駄」と「作業者の負担」の大きな要素がベッドメイクです。複数の部屋を一度に清掃する場合、交換用・回収済みのリネンの重量は非常に重くなります。また、リネンを手で回収する場合、リネン室と客室を何度も往復する時間は無駄だといえるでしょう。自作のワゴンを使用する老舗で比較的小規模な旅館もありますが、扱いやすさや見栄えに課題が残るケースも多いです。そこでテラモトが開発・製造した「ホテルリネンワゴン」のように、複数のアメニティや交換用のリネンを持ち運べ、回収用のワゴンとも連結可能、さらに見栄えにも考慮したワゴンを導入する宿泊施設が増えています。このような設備を導入する際は、導入前の業務時間を計測し、一端試験を行い、効果を計測してから本格的に導入するケースが一般的です。

関連ページ:ホテルリネンワゴン

業務改善のポイント4:応援体制の整備

組織、業務を柔軟化しマルチタスクに対応できる人材を育成することで、繁閑時間が異なるフロント・客室・レストランなどをフォローして、従業員の業務を平準化することができます。余剰人員を活用しお互いを助けあうことで、業務の効率化を実現する理想的な組織ですが、このような応援体制を一朝一夕で構築するのは簡単ではありません。部門を超えた研修の機会を設けたり、実務を行える環境を整備してある程度の時間をかけてマルチタスク型の人材を育成する必要があります。

働き方改革の取り組み事例

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実際に働き方を見直したホテル・宿泊施設の例を挙げていきます。参考になるものがあれば、ぜひ積極的に取り組んではいかがでしょうか。

労働時間の把握と個別フォロー

客室数130室、正社員数144人の宿泊施設では、働き方を見直す第一歩として従業員の労働時間の把握を強化しました。管理部門が主導し、自己申告による勤怠データを毎月集計した結果、残業時間が多い部署や個人にヒアリングなどのフォローを行っています。
さらに別の施設では10日ごとに労働時間データをとりまとめ、人件費の実績・当日の予約状況、前年比などから「理想的な残業時間」算出。その数字をもとにシフトの作成時するほか、従業員に残りの残業時間を都度、フィードバックすることで労働時間の管理や業務の効率化の意識向上に役立てています。
さらに残業規制を強化し、所定時間を超えると強制的にシフトを変更し休暇などを与える施設もあります。

長短シフトを組み合わせて繁閑対応

シフトを30分ごとに設定し、繁閑予測に合わせて4~10時間でシフトを作成。中抜け休憩ではなく、労働時間の長短を重視してシフトを組むことで、無駄な残業をなるべく減らすようにしている施設があります。

働き方改革の対応は効率化が鍵

宿泊業界だけではなく、働き方改革の鍵は現状の業務の効率化です。フロント業務は無駄なサービスの削減、客室清掃は清掃効率の向上などを実現することが、働き方改革の成功の鍵といえるでしょう。
特に客室清掃は人材不足やスタッフの高齢化など、働き方改革が目指す課題に深く関わっています。
まずは従業員の業務量を把握した後、先述したテラモトの「ホテルリネンワゴン」の導入などを検討してみてはいかがでしょうか。

※出典:厚生労働省「働き方・休み方改善ハンドブック

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