TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

防炎製品と通常製品の違いとは?加工の効果と「防炎マーク」の意味
2021.12.15 業界コラム

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「防炎」と表示されたマークが付いている製品を見かけたことはないでしょうか。私たちの生活でも意外と身近な存在で、主にカーテンやじゅうたんなどの製品に付いていることがあります。安全性の高い製品を求めている人にとっては、気になるマークといえるでしょう。
ただ、どんな基準で付けられているマークなのか、どのくらい安全なのかをしっかりと理解している人はそれほど多くはありません。
ここでは防炎製品と通常製品との違いや、防炎マークの意味について説明していきます。

防炎とは

防炎というのは、文字通り「燃えにくい」ことを指します。布製品などは本来かなり燃えやすい代物です。しかし、それでは安全性が保てないということで、燃えにくくするための加工や燃えにくい素材を使用した製品も多く開発・販売されており、そのような製品が防炎製品と呼ばれています。
通常の製品なら大きく燃え広がって火事になってしまうような場合でも、防炎製品なら軽い小火程度で被害を抑えられる可能性があります。

また、防炎とよく似た言葉として、不燃というのを聞いたことがある人は多いでしょう。同じようなものに思えるかもしれません。
しかし、不燃というのは「燃え抜けないもの」という意味で、表面のみ燃えて原型が崩れることはありません。
これに対して防炎は、燃えた部分に関しては、原型が崩れて燃えかすになってしまいます。
防炎も不燃も燃えないわけではないため火の気には十分に注意しましょう。

※出典:公益財団法人日本防炎協会「防炎って何?-防炎とは、防炎化の必要性-」

防炎マークとは

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防炎製品か通常製品かの区別は、消費者にとって非常に重要です。通常製品とあまり差のない製品が防炎製品と表記されしまっていれば、誤った扱いにつながりかねず、消費者が危険に晒されることになってしまうでしょう。
そこで、法律で防炎製品の基準を定めた上で、それを満たす製品にのみ防炎マークを付けることが許されています。
その際には消防庁長官による登録も受けなければなりません。

性能試験が実施されている

防炎基準を満たしているかどうかを確認するために、性能試験が実施されています。これは、各メーカーで防炎マークを付けて防炎製品として発売する製品を対象にして行われる実験です。対象製品に実際に着火してみて、炎が止むまでの時間や燃えかすの長さなどを測定します。
そして、測定した時間や長さが、あらかじめ定められている基準に合致していれば、消防庁長官の登録を受けられるという仕組みです。
具体的な基準は製品の種類によって異なります。一例を挙げると、絨毯なら着火後20秒以内に、炎が止まなければなりません。それに加えて、燃えかすの長さも10センチ以下である必要があります。
また、製品によっては、洗濯やクリーニングをすることで、防炎性能が落ちる可能性もあります。そのため、洗濯やドライクリーニングなどの可否についても基準が設けられています。

製品によって防炎マークの様式が異なる

防炎マークは、基本的には赤字で「防炎」の文字が記載されているものですが、製品の種類によってやや異なります。
洗濯やドライクリーニングの可否などについても記載されているため、購入の際にはよくチェックしておきましょう。
また、防炎マークは完成した製品に対して使われる物品ラベルと、その材料に対して使われる材料ラベルに分かれています。このうち、一般の消費者が目にするのは、物品ラベルの方でそのほとんどが白を基調としたデザインです。絨毯の場合には、オレンジを基調としたデザインの防炎マークもあります。
材料ラベルは一般の消費者が目にする機会はあまりありませんが、青か水色を基調としたデザインです。
また、取り付け方法も製品によって決められているのが特徴です。物品ラベルの場合には、ほとんどが貼り付けか縫い付けで取り付けられています。
材料ラベルの場合には、貼り付けか下げ札で取り付けられるものが多いです。

※出典:公益財団法人日本防炎協会「防炎表示と防炎ラベル」

防炎素材・加工とは

防炎製品は、防炎素材を材料として使用した上で製造しているものと、製品化してから防炎加工を施しているものに分けられます。
では、防炎素材や防炎加工について見ていきましょう。

防炎素材

防炎素材というのは、主に難燃アクリルや難燃ポリエステルなどの化学繊維のことを指します。このような化学繊維を作る段階で防炎化の処理を施すのが特徴です。
また、原料を合成反応させる段階で紡糸する方法と、合成反応後に防炎薬剤を使用して防炎化する方法があります。
そのようにして作られた繊維を原料として使用し、絨毯やカーテンなどに加工します。

防炎加工

防炎加工というのは、製品を製造した後に防炎処理を施すことで防炎化する方法です。主に、レーヨンやポリエステルなどの繊維を使用して防炎製品を製造する際にこの方法が用いられます。
防炎化する方法としては、防炎薬剤を使用するのが一般的です。防炎薬剤の水溶液に、製品を浸漬させてから乾燥させることで防炎処理が施されます。浸漬させずに、製品に使われている繊維に防炎薬剤を付着させて化学反応を起こす方法も可能です。
また、製品の表面にコーティングやバッキングの加工を施す方法もあります。

主な防炎製品

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防炎製品には様々な種類があります。その代表的な製品を以下で紹介します。

防炎絨毯・カーペット

じゅうたんやカーペットは、防炎の必要性が高い製品の1つです。通常の絨毯やカーペットを敷いている場所で火を使うと、少し火の粉が落ちただけでも、すぐに燃え広がってしまう可能性があります。
一方、防炎絨毯や防炎カーペットなら、炎が上がりにくいため落ち着いて対処できるでしょう。

防炎カーテン

カーテンは天井から床までつるされており、もし火が付いてしまえば非常に大きな炎が上がります。カーテンに燃え移るか否かで軽い小火で済むか火災に発展するかの分かれ目になることも少なくありません。
そのため、防炎製品のカーテンを使用すれば、火事を防止できることが多いです。もし火災に発展してしまった場合でも、防炎カーテンなら、燃え広がるのを5~10分程度は遅らせられます。
5~10分あれば逃げられることも多いため、防炎カーテンのおかげで命が助かることもあるでしょう。
また、大勢の人が出入りする建物や高い建物などでは防炎カーテンの使用が義務付けられています。

防炎加工の布製ブラインド

カーテンの代わりに、オシャレな布製ブラインドを使用しているところもあるでしょう。窓全体を覆うため、それなりに大きなものが多いです。火災が発生すると、瞬く間に燃え広がってしまいます。
そのため、布製ブラインドも防炎製品を使用するのが望ましいです。防炎カーテンと同様に、火災の際に燃え広がるのを遅らせられます。

防炎マット

公共施設や商業施設などの出入口に、土砂落とし用のマットが敷かれていることがよくあるでしょう。そのようなマットにも防炎製品があります。
万が一火災が発生したときなどに、出入口に設置されているマットが燃えてしまう可能性もあるでしょう。そうなると、脱出が困難になってしまいますが、防炎マットならそのような事態を防止できます。
また、一般家庭でも玄関の前に土砂落とし用のマットを敷いているところが多いです。その場合にも、防炎マットなら安心できます。
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※商品ページ:スーパーダスピット
※関連ページ:防炎マーク

防炎製品で命と財産を守ろう

防炎製品は通常製品よりも燃えにくい製品です。性能試験をクリアした場合にのみ防炎製品として販売できて、防炎マークも使用できます。
防炎製品を使用することで、火災の防止に役立ち、被害を最小限に食い止められることが多いです。
絨毯やカーテン、マットなどを購入するなら、ぜひ防炎製品を選ぶようにしましょう。

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