TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

街角のどこにでもある看板、その歴史や種類を知ってみませんか?
2021.07.21 商品紹介コラム

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『看板』と聞いて、思い浮かぶのはどんな形ですか?

街のなかにたくさんある、お店の名前が入ったものがやっぱり一番印象に残っていますでしょうか。

商品やイメージを大きく載せた華やかなものから、一見すると何の店だろうと思ってしまうシンプルなもの、そして看板自体の形状も様々です。

そんな『看板』の歴史や種類について、調べてみました。

日本の看板の歴史

日本における『看板』の歴史はとても古く、なんと今から1300年ほど前……奈良時代までさかのぼります。

奈良に都をおいていた平城京では、東西市と呼ばれる市場が置かれていました。当時の官吏により運営されている市場でしたが、様々な商品が売り買いされ庶民の交流の場でもあったそうです。そのころ、市場で売る商品に標(しるし)を立てるようにと決まりができ、これが今でいう『看板』の始まりだと言われています。

その後、京都に遷都した平安京でもこの東西市は開かれていましたが、833年に当時の法律が修正され「凡市毎律立標題行名(およそ、市は肆(いちくら)毎に標を立て行名を題せ)」という決まりができました。

読み方は難しいですが、要はお店ごとに何を売ってるいるのかわかるよう、標(しるし)を立てなさいという内容です。

標と呼ばれていた当時の看板は、だいたいが薄い木でできた札のようなものだったそうです。まだ庶民に文字を読める人は少なかったため商品の絵が描かれていることが多く、現在のようにお金で買うというよりも物々交換が主な取引方法だったと言われています。

華やかになってゆく看板

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標と呼ばれる『看板』の起源は、木の立て札のようなものでした。

その後時代が進み、平安時代には現在でも見かける暖簾(のれん)の原型が生まれ、鎌倉~室町時代に『簡板(かんばん)』という言葉が出てきました。

このあたりから、文字を読める庶民の数が増えたこともあり、文字が使われはじめ、商品の種類だけでなく屋号を入れる形のものが増えてきたそうです。

そして、町民文化が根付き始めた安土桃山時代から江戸時代にかけて、現在でも使われている『看板』という呼び名ができあがりました。

それまでは「何を売っているか」を知らせるのが主な目的でしたが、江戸時代に入った頃から集客のために「宣伝する」ということを目的に看板が掲げられることが多くなってきました。

文字も現在でいうところのデザインロゴのような形のものが使われたり、豪華な漆や金、浮世絵を彫ったものなど、凝った看板が多く作られました。

また、形状も四角い板を用いたものだけでなく、行灯や提灯タイプのもの、扱っている商品の形にくりぬいたものなど多岐にわたるデザインが見られます。

あまりに豪華なものが増え過ぎたため、幕府が華美な看板作りを禁じる命令を下したこともたびたびあったそうです。

明治から近年にかけて

時代が移り変わり、明治に入ると看板の素材に変化が訪れました。

ブリキなどの薄い鉄板にペンキを用いて描かれた『ホーロー看板』というものです。

ホーロー看板は丈夫なことと小さなサイズでも作れるためか、明治以降もたくさん製作されたそうです。今でも古い町並みが残る場所では、ひっそりと残っているのを見つけられます。ホーロー看板の鮮やかな色あいやレトロな書体に惹かれて収集している人も多いらしいです。

そんな手描きの看板のほかに、新たな看板形式が生まれたのは大正時代。

赤・緑・青・白の光が出るネオン管を使ったネオン看板の登場です。

現在でも営業を続けている銀座のある店が掲げたネオンサインが、日本で初めて使われたネオン看板だと言われています。今ではあたりまえの電気を使った看板ですが、当時の人々は点滅しながら色や文字が変化していく様子にとても驚いたそうです。

日本に上陸したネオン看板は昭和初期にどんどん進化し、イラストのようなデザインのものが増えていきました。

その後、戦時下の統制を経て、高度経済成長期に入った日本はネオン広告に代わり小さな電球が多数集まったシネサイン方式の看板が多くなりました。

近年では、LEDライトやディスプレイの薄型化などもあいまって、画像や動画をそのまま表示できる看板も増えてきています。

看板ってどんなものがあるのでしょう?

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さて、時代ごとに移り変わってゆく看板の歴史を簡単に追ってきましたが、現代よく目にする看板の名前、案外に知りませんよね。

ここでは絶対見た事があるけど、正式名称はわからない……そんな看板の代表的な種類を紹介してみます。

・スタンド型看板

街中で最もよく見かけるこの看板、形も様々で、イーゼル型・A型・電飾ができる四角いスタンド型などがあります。ポスターやパネルを用いたものや、チョークで手描きのイラストが描けるものなど……安価で購入できることや、店舗の雰囲気に合わせたり、季節ごとに内容を入れ替えやすいので愛用しているお店も多いです。

最近ではデジタルサイネージと呼ばれる電子化されたスタンド型看板もよく見かけるようになりました。

・壁面看板

建物の壁に設置された看板で、大きく目立ちます。遠くからでも視認できることが特徴で、夜間でも明るく照らされることが多いです。壁面に取り付けられるので、平面の形になりますが、多くは社名や商品などがわかりやすくデザインされています。

・屋上(パラペット)看板

屋上や、建物の入り口についている看板。デパート等の商業ビル、病院など大きな建物の屋上などにはロゴや施設名など象徴となるものが掲げられていることが多いです。

また、建物の正面入り口に店舗名を象った立体文字で取り付けている看板があるところもよく見かけます。

・野立て看板

路地、街路などに設置されている平面の看板。電車のホームなどでよく見かける看板です。店舗から離れた場所で、通行人などにアピールするためのものです。

また施設や駐車場などへの案内や、危険な場所等への注意を促すなど、人を誘導するために建てられている物も野立て看板のひとつです。

・突き出し看板

建物の壁面から垂直に飛び出した形の看板です。テナントのたくさん入ったビルに、各店舗や事務所名前の入った四角い突き出し看板が並んでいる光景は見た事がある人も多いでしょう。

もちろんそれだけでなく、古い喫茶店などで見かける鉄製のアンティークなデザインの物がぶら下がっているのも、突き出し看板のひとつです。店で扱っているものをそのまま吊っていたり、社名などのロゴを切り出しているものなど、個性がはっきりと出る看板となることも多いタイプです。

・タペストリー型看板

丈夫な布に印刷されたもので、他の看板と合わせて使うことが多いです。

大き目のサイズで作られ、店舗の軒先や壁に垂れ下がるようにして設置されています。スタンド型看板よりも目立つため、メニューや店舗の特徴がより多くの人の目に留まり、大きな広告効果を得られる看板です。

ここで紹介した物以外にも、ポール型やアドバルーン・のぼりなど、看板は「伝えたいこと」を「どんな人たちに」届けたいかによって様々な形で作られています。

どのお店に入ろうか? あれはどこにあるのだろう?
毎日の生活のなかでたくさんの選択肢が現れますが、看板はそんな私達の気持ちを捉えて動かしている物のひとつなのかもしれませんね。