TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

コロナ禍に知っておきたいキーワード『ゾーニング』とは
2021.02.10 業界コラム

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withコロナの時代に、ニュースなどでよく使われるようになった言葉がたくさんあります。
新しく作られた標語「3密(密閉・密集・密接)」や、今まであまり耳にすることがなかった「クラスター」「パンデミック」「ソーシャルディスタンス」「実効再生産数」などなど……。

そのなかのひとつに、いま感染症対策として知っておきたい言葉『ゾーニング』があります。一般的によく使われる意味と、コロナ禍において急上昇してきた意味――簡単にひもといていきましょう。

そもそも『ゾーニング』とはどんな意味?

基本的には「区分する」という意味で使われています。
日本独自で使われている外来語で、由来となっている英語「zoning」は「地区制」という意味。
主に土地を用途別に区画するときに使われ、日本の「ゾーニング」よりも限定的な意味になります。

日本では、一般的に空間に対する区分け・年齢制限による区分けとしてよく使われています。
• 都市計画・住宅計画など「空間」を区分するゾーニングの例

住宅地・公共施設・商業施設など、各地域を用途別に区画して開発計画を行うこと。
住宅建築で、個室・リビング・キッチンなど、使用目的ごとに動線を考慮して配置すること

• 物品・コンテンツ・情報などの販売や利用を年齢によって制限するゾーニングの例

お酒やたばこなど、20歳未満への販売を禁止すること。
映画やゲーム、ネットサービスなど、コンテンツ・情報に含まれる内容によって適切な年齢を区分けすること。映画等の視聴年齢指定など、細かく分かれている場合が多い。フィルタリングと呼ばれることもある。

さまざまな分野で使われている「ゾーニング」

■ オフィス等で使われる「ゾーニング」
その場所が何を目的にして、どれくらいの人数で使われるのかを考えて空間を区切ること。
動線が複雑にならないような通路や、業務に適した1人あたりの面積を考慮したレイアウトを作ります。
例えば“受付”“会議室”“文書・資料保管室”などをどこに配置するかを考えることが、オフィスにおけるゾーニングです。

また、セキュリティ対策として、そのスペースに立ち入れる人を区切る意味合いでも使われています。セキュリティレベルごとに、来客者・従業員・特定の作業担当者などを区分していきます。

■ 小売業(デパート、スーパー、コンビニエンスストア等)で使われる「ゾーニング」
小売業では、ゾーニングは2つの意味合いで使われています。
ひとつめは売場構成(ゾーニングレイアウト)。
顧客が通る通路の幅や動線をどう取るか、商品をカテゴライズし、どのような並びで配置するかを決めます。
ふたつめは商品棚のゾーニング。
カテゴライズされた商品を縦配置・横配置どちらの方法で並べたほうがより売れやすいか、どの商品を隣り合わせにすると効果的かなどを考えて陳列するかを決めていきます。
スーパーやコンビニエンスストアでは、最も目に止まりやすく手が届きやすい場所を“ゴールデンゾーン”と呼び、新商品や重点商品を並べます。

■ 病院、介護施設などで使われる「ゾーニング」
病院や介護施設等でのゾーニングは、安全に医療を行う、感染を拡大させないようにするために行われます。
新型コロナウイルスだけでなく、流行性ウイルス疾患(水痘など)インフルエンザ、結核など、空気感染・接触感染・飛沫感染で広まっていく感染症患者を扱う場所では欠かせません。
とくに入院病棟などでは、病原体によって汚染されている区域(汚染区域)と、汚染されていない区域(清潔区域)を明確に分けることが必要とされています。

感染症対策に必要不可欠な『ゾーニング』のことを知ろう

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新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる病棟では、感染拡大と医療従事者の安全を守るために明確なゾーニングが求められています。
また、一般病棟において新型コロナウイルス感染症患者が集団発生(クラスター化)した場合も、その病棟内でゾーニングを行わなければいけません。

国立感染症研究所・国際感染症センター・日本環境感染学会などが出している『感染症対策のためのガイドライン』を参考し、医療機関ではどのようなゾーニングが行われているのか知ってみましょう。

■ 感染症対策におけるゾーニングの考え方
• 『汚染区域(レッドゾーン)』と『清潔区域(グリーンゾーン)』を明確に区別すること。
• 『汚染区域(レッドゾーン)』はできるだけ狭く設定すること。汚染区域が広い状態だと、消毒・清掃の負担が大きくなる。また医療従事者や清掃員等の感染リスクも高くなってしまう。
• 『汚染区域(レッドゾーン)』に入る際は必ず個人防護具を着用し、汚染区域を出る際に脱衣する。着用場所と脱衣場所は必ず分けること。
• 個人防護具の保管場所・着用場所・脱衣場所、脱衣した後の防護具などを廃棄する容器などを明確に指定する。それぞれの場所ごとに手指消毒を確実に行えるよう、手指消毒剤を設置する。
• ナースステーションは、原則的に『清潔区域』に指定する。医療従事者が常時感染リスクの高い『汚染区域』にいることは大きなストレスや疲労につながってしまうため。

■ ゾーニングの基本的なパターン
1. 患者のいる病室、感染症廃棄物を運ぶ動線を『汚染区域(レッドゾーン)』
病室外(廊下など)を『清潔区域(グリーンゾーン)』とする。
※病室内にトイレがない場合などは共有トイレや患者が移動する通路などもすべて『汚染区域』とし、衝立て・ビニールカーテン等で『清潔区域』と区分する。
2. 医療従事者や清掃員が個人防護具をつける“着用場所”を『清潔区域』内の入口付近に設ける。
3. 医療従事者や清掃員が個人防護具を脱ぐ“脱衣場所”を『汚染区域』内の出口付近に設ける。その際に出る感染症廃棄物はできるかぎり専用ルートを使って搬出する。
4. “着用場所”“脱衣場所”が隣接したり、交差したりしないようにゾーニングする。
『清潔区域』『汚染区域』の移動は、一方向になるように出入口を設けること。
5. 医療従事者・清掃員・患者など病棟に出入りするすべての人が、ゾーニングを目視できるように床面に色分けテープを貼る・進行方向や何をする場所なのかを提示する。

■ 個人防護具とはどんなもの?
医療・介護従事者、清掃員等が汚染区域で使う『個人防護具』には、こんなものがあります。
• 手指衛生のための消毒剤
• 手袋(ビニール、プラスチック、ラテックス製の医療用のもの)
• サージカルマスク
• ゴーグル
• ビニールエプロン・医療用ガウン

脱衣する場合は
• 手袋→エプロン・ガウン→ゴーグル→マスク
と、汚染度の高い箇所から順番に、汚染部位に触らないように気を付けながら脱ぎます。
着用前・脱衣後には必ず手指消毒を行います。

※イメージ写真となります。
※イメージ写真となります。

感染症対策の『ゾーニング』を知れば、さまざまな場所で生かせる

ここまで紹介してきた感染症対策のゾーニングは、感染症と最前線で触れなければならない病院で行われているものです。
しかし、『汚染区域』『清潔区域』の分け方、感染リスクを低くするための動線の考え方、
個人防護具の扱い方などの基本的なルールを知っておくことは、病院以外の場所での療養・清掃に役立つかもしれません。
新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやノロウイルスなど、家庭内で療養が必要となる感染症対策の際にも、ゾーニングを意識して感染リスクを抑えましょう。

【参考】
・東京福祉局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/shingatainflu/cyakudatsu.files/1-
3.pdf
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/minamitama/iryoken/forum/forum21.files/2020forumbook1.pdf
・東京都院内感染対策強化事業
http://www.tmsia.org/workshop/pdf/2011_1kuseibu_kubota.pdf
・国際感染症センター
http://dcc.ncgm.go.jp/information/pdf/covid19_zoning_clue.pdf