TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

エコなホテルが増加中!?ストロー、リネンのシーツ交換など、取り組み事例とその効果
2019.11.27 ホテル全コラム ホテル経営・マネジメント 業界コラム

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近年エコ活動に取り組んでいる企業が増えています。
ホテル業界でもそれは例外ではなく、かつてはエコを意識してもらうための「エコツーリズム」に取り組んできた各宿泊施設は、環境に配慮したサービスの提供を実践する施設が増えてきています。
この記事ではエコ活動に取り組むホテルが増えている理由と、実際の取り組みについて解説していきます。

エコの目的と事例まとめ

目的 エコ化事例
紙資源の節約 (タブレット端末による)チェックイン時のペーパーレス化
水資源の節約 清掃や洗濯回数の削減
(清掃頻度や清掃の内容をお客様に選んでいただく)
廃棄物の削減 アメニティ消費量の削減
(コーナーを作ってお客様ご自身の手で選んでいただくなど)
プラスチックストローの廃止
リサイクルへの取り組み (ごみの分別などによる)リサイクル率の向上
食品ロス問題の解決 フードロスのカット(持ち帰り用パックを設置)
エネルギー資源の節約 省エネの実施(節電など)
環境負荷の低減 リサイクル品の活用

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CSRやコスト削減で「エコ」に取り組むホテルが増加中

■被写体の人物はストックフォトモデルです。撮影許諾を得ています。【モデルリリース:取得済み】

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の頭文字に由来する言葉です。
これは、日本語に訳すと「企業の社会的責任」という意味になります。
企業とは基本的に自分達の利益を追求する集団ですが、社会に対しての責任がないわけではありません。
「企業には倫理的な観点から自主的に社会に貢献する責任がある」という考え方があります。

その代表例が利害関係者への「説明責任」ですが、本記事では別の責任である「環境問題への責任」を取り上げていきます。
企業の活動によって環境が破壊されると企業活動に関係のない人にまで被害が拡大する事が考えられます。
そのようなことを防ぐ責任が企業には求められているのです。

特に近年は「持続可能な開発目標」や「パリ協定」などの国際的な環境への取り組みが注目されて、日本国内でも食品ロスなどへの対応に意識が高まっています。
こういった情勢の中、省エネ法のベンチマーク制度の対象業種にホテル業が追加され、ホテルに対するエコマークの認定基準が改定されるなどの動きがあり、ホテル経営においても環境問題への取り組みを求められるようになりました。

これらの結果、環境問題に対して具体的な貢献をするための施策としてエコ活動に取り組むホテルが増えてきているのです。

また、エコ活動は光熱費の節約など経費削減効果も得られます。
コストカットと社会貢献によるイメージアップという2つの効果が得られることも、エコなホテルが増加している理由と考えられます。

ホテルのエコ化具体例

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ここからは具体的な事例を紹介していきます。
参考になるものや実現できそうなものがあれば、ぜひ採用をご検討ください。

チェックイン時のペーパーレス化

ホテルでチェックインをするときは、お客様に住所や氏名をアライバルカードに記入してもらうのが一般的です。
このカードを廃止し、代わりにタブレット端末に専用ペンで記入してもらうことで、紙資源を節約した事例があります。

この方法を使えば、宿泊者情報をそのままデジタルデータで保存できるのも利点です。
人間がアライバルカードを見ながら人力でパソコンに打ち込む手間が省けるので、ホテルの業務効率改善に効果があります。

清掃や洗濯回数の削減

水資源の節約は人類の命題といっても過言ではありません。一方で、清掃と洗濯には多くの水を消費します。
しかし、ただ清掃や洗濯を減らしてしまうだけではサービスの低下に繋がりかねません。
そこであるホテルでは、連泊中のお客様のシーツや枕カバーの交換を希望制にしています。

しかし清掃や洗濯を希望するかどうかをいちいちフロントまで申告する必要があるのはお客様の負担が増えてしまうため、悪い印象を与えてしまう可能性があります。
これを解決するために、清掃やシーツ交換などを希望しない場合はベッドの近くに専用のカードを置いておくなど、手軽な連絡手段を用意している事例が見受けられます。

また、別のあるホテルではチェックイン時に翌日の清掃が要らない旨を告げてくださったお客様に何らかのプレゼントを渡すサービスを実施しています。
こうすることでお客様に節水を呼びかけることなく、自然と節水を促すことが可能です。

アメニティ消費量の削減

アメニティには使い捨てのものが多く、使用済みのものはゴミとして廃棄されることになります。
廃棄物が増えるのは環境によくありません。
ゴミの削減はホテルにとっても大きな問題となっていますが、アメニティを減らすのはサービスの低下に繋がる可能性があるので悩ましい部分もあります。
少しでもゴミを減らすために、あるホテルでは歯ブラシを使わず返却したお客様に何らかの特典を渡すサービスを行っています。

また、必要なアメニティをお客様自身が選択できるようなシステムを取り入れているホテルも散見されます。
例えばフロントの近くに浴衣やバスローブ、歯ブラシその他のアメニティ置き場を用意しておき、お客様が自由に客室まで持っていけるようにしている「アメニティバイキング」とも言えるシステムがあります。
「過剰にアメニティを持ち去られるのでは?」という不安があるかもしれませんが、フロントの目が届く範囲にアメニティ置き場を設置しておけば過度な持ち去りをある程度防ぐことが可能です。

このシステムを採用すると清掃スタッフが客室でアメニティを交換する手間を省くことができるため、廃棄物の削減と業務効率化という2つの効果が得られます。

プラスチックストローの廃止

プラスチックごみの海洋汚染が国際問題となっていることを受けて、プラスチックストローの提供を全面的に取りやめたホテルがあります。

しかしストロー自体を廃止してはサービスの低下に繋がるため、ストローをご希望のお客様にはプラスチックストローの代わりに紙製のストローを提供することにしてサービスの質を維持しているようです。

リサイクル率の向上

ある程度のゴミが出てしまうのは仕方ありませんが、それをそのまま廃棄するのは環境によくありません。
ゴミを細かく分別して出せばリサイクルに繋げることができます。

実際にゴミの分別を徹底定期に行うことで大半のゴミを原材料やサーマルリサイクルへと変えているホテルもあり、一定の効果を上げているようです。

フードロスのカット

食べ物を残すことで発生する食品残渣(ざんさ)、いわばフードロスの問題は各業界で問題になっており、ホテル業界でも例外ではありません。
特に立食パーティなどでは大量の食べ物が提供されますが、食べる人がおらずそのまま捨てられる食品も多いようです。
そこであるホテルでは、食べ切れなかった料理をパックに詰めて持ち帰ることができるサービスを行っています。

ただし、食品の持ち帰りには安全上または衛生上の問題も伴うため、持ち帰ることができる食べ物を制限し、当日中に食べることを促すなどしています。

また、最終的にはお客様の自己責任であることも明らかにしたうえでサービスを行うなど、考えるべき部分は多いようです。
注意点の多いサービスではありますが、フードロスの削減に一定の効果が期待できます。

省エネの実施

単純ですが省エネは大切であり、環境負荷の軽減に大きな効果があります。

照明をLEDに切り替える、エアコンの調節をする、従業員が使うパソコンを省エネ設定にするなどで、お客様の負担にならないような節電に取り組んでいるホテルが存在します。

リサイクル品の活用

廃棄物のリサイクルだけでなく、リサイクルによって作られた商品を導入することもエコ活動です。

例えばスタッフが使用する制服や作業着、衛生紙などをリサイクルによって作られた環境配慮型の商品に変更したホテルがあります。
備品についても産業廃棄物から再生されたリサイクルタイルカーペットなどを導入し、環境負荷の軽減に取り組んでいるケースが見られます。

エコ活動で企業イメージのアップと経費節減を!

環境問題への意識が高まっている現在では、エコ活動を行っている企業に対して悪いイメージが持たれる可能性は低く、むしろ良いイメージを持たれることが多いです。

企業のイメージをアップさせつつ経費の削減ができるエコな取り組みを行っていくことは、ホテル経営の上で一考の価値があります。
ぜひ本記事の内容を参考にして、エコ活動に取り組んでみてください。

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