TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

観光庁の事例から読み解く。客室清掃の業務効率化のポイントとは
2020.09.02 業界コラム

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人材不足の解消や経費削減を実現するため、客室清掃の業務効率化に取り組んでいるホテル・旅館などの宿泊業者は少なくないと思います。ただ、「どこから手をつけて良いのかわからない」、「どのような施策を実施すべきか知りたい」などの声も多く聞かれます。そこで今回は、観光庁が作成した「宿泊業の生産性向上事例集」から、客室清掃の業務改善に成功した事例をピックアップして紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

観光庁の「宿泊業の生産性向上事例集」とは

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2019年の訪日外国人旅行者数は過去最高の3,188万人と過去最高を記録。その一方で少子高齢化の影響により、人材不足による影響はこれまで以上に厳しくなると想定されています。宿泊業界全体の課題である「生産性の向上」の実現に欠かせない、以下の8つのポイントを改善した事例をまとめたものが「宿泊業の生産性向上事例集」です。

宿泊業の生産性向上のポイント1:マーケティング

外部資源との連携や自施設のPRによる集客など、マーケティング活動によって付加価値、売上、客数の向上に取り組むこと。

宿泊業の生産性向上のポイント2:人時生産性の向上

時間当たりの付加価値額のことを「人時生産性」といいます。生産性向上を実現するための分かりやすい指標として、人時生産性について理解を深める必要があります。

シフト改善、中抜け勤務の解消・見直し

就業途中で一度、休憩等を挟む「中抜け」は宿泊業界にとっては、一般的な勤務体系です。中抜け勤務はスタッフの負担が大きい勤務体系と考えられており、人材を確保し続けるには解消すべき要素のひとつとされています。

業務改善、マニュアル化・マネジメントの徹底

組織のムダ・ムラを見つけて改善することが、生産性や顧客満足度の向上につながります。改善点を見つけるためには、まず業務棚卸しを実施した後にマニュアルを作成し、正しく運用する必要があります。

人材育成・定着化

業務効率は、スタッフの能力が向上することでも図れます。スキル向上を実現するためには「スキルマップ」など活用がポイントです。

IT化・機械化・道具化

ITを活用した社内情報のやりとりの円滑化や、連携強化のほか、手作業を機械化することで大幅な作業時間の短縮や効率化を期待できます。また、海外からの利用者とのコミュニケーションにも活用できます。

5S・3定、レイアウト改善による効率化

整理・整頓・清掃・清潔・しつけである「5S」と、整頓のルールである定位置・定品・定量の「3定」を守ってレイアウトを改善して継続することで、仕事の効率の向上につながります。

水光熱費の削減

宿泊施設の重要なランニングコスト「水光熱費」の削減のため、施設診断の実施が推奨されています。

今回は上記の8つのポイントのうち、客室清掃に焦点を当てて各宿泊施設の取組事例をピックアップして紹介します。

清掃作業の効率化事例1:清掃業務フロー作成オペレーションの見直し

データ

石川県にある客室数27室の小規模旅館では、客室清掃とパブリックスペースの清掃の人員振り分けに課題を抱えていました。具体的には、清掃開始時間である午前10時になっても基本チェックアウト時間である午前11時を過ぎるまで、清掃スタッフにパントリー補充や空いた客室を数人体制で清掃するなど、一時的な人員過多になることも少なくなかったといいます。
そこで清掃フローを「見える化」し、ムダやムラを洗い出しました。その後、新たに業務フローを組みなおし、午前10時からパブリックスペースの清掃員を1人配置。さらに手が空き次第、客室清掃のヘルプに回れるように人員配置を再構築しました。また、宿泊人数に対する清掃スタッフの必要数を明確化。スタッフが通常の6人よりも多く必要な場合に適用する「半日シフト」を導入することで、より細かな業務管理を実現しました。

清掃作業の効率化事例2:連泊・滞在客の客室の業務改善

鹿児島県の客室数57室の温泉ホテルの事例です。このホテルでは、インバウンド・国内客問わず3泊以上の宿泊客が増加傾向だった。これにより、清掃作業において「宿泊客の外出待ち」の状態が頻発し、清掃スタッフの負担の増大や非効率的な清掃作業の常態化、クレームの発生、さらに待機時間の格差によるスタッフの不公平感の膨張などが懸念されていました。そのような状態を解消するために、ホテルは以下の施策を計画、実施しました。

・連泊客への案内書を作成(チェックイン時に手渡しで説明)
・インバウンド向けに英語版の案内文も作成
・待機中の客室係は、リネンやその他の準備のほか、クリーン担当に入れ込みをしてもらうなどの分業と効率化を図り、客室係間の作業終了時間に差異が生まれにくいように改善
・清掃時間の設定と事前告知

さらに、トラブルが多かった「アメニティの回収」についても回収するものとしないものを表で表して明確化。スタッフで共有することで、サービスを均一化しました。以下でその一例を紹介します。

■アメニティ(歯ブラシ・歯磨き粉)の回収の基準と担当者

クリーン担当 使用済みの場合 開封後の使用済みのものは、洗浄した白コップに入れる
※使用済みのものが溜まっていても、ゴミ箱に捨てられていなければ回収しない
客室係 未使用の場合 回収不要。そのまま使用
補充 毎日新しい歯ブラシを人数分用意。未使用があればそのまま使用する


清掃作業の効率化事例3:客室清掃業務の作業時間短縮

山口県の客室数19室の温泉旅館では、70代2人、40代1人の比較的高齢なスタッフが客室清掃を担っていました。そのため、作業時間にばらつきが発生しやすく、部屋の間取りによって最大46分の作業時間の差が生まれていました。そこで作業内容をすべて洗い出し、以下の作業方法の課題をまとめました。

■作業方法における課題
・作業チーム(1室3名)での清掃のため効率が悪い
・清掃用具がひとまとめになっておらず、移動の際の効率が悪い
・部屋毎の清掃用具の分類が分かりづらく、効率が悪い。

上記の課題を解消するため、次のような業務効率化、清掃体制を構築しました。

■改善の具体例
・客室を「風呂付き客室」と「風呂なし」の2タイプに分類し、前者は1室2人、後者は1室1人の清掃スタッフを配置する。
・効率化と責任範囲を明確化。
・マニュアルの作成、部屋ごとの標準作業・時間の設定。
・清掃用具の改善(清掃箇所ごとに色分けして、適切な清掃用具を選びやすくする)

上記の改善策を徹底することで、対象となった客室の清掃時間を平均11.86%の削減に成功しました。今後はさらなる清掃時間の削減につながる「カート(ワゴン)」の導入も検討しているとのことです。

テラモトは「ホテルリネンワゴン」で効率化に貢献

宿泊施設における清掃の効率化には、様々なアプローチ方法があります。その中でも、特に分かりやすい効果を期待できるのが「清掃用具などの導入、見直し」ではないでしょうか。ホテルの需要や要望の増加を受けて、業務用清掃用具のメーカー各社は、清掃時間の短縮につながる製品を発売しています。テラモトでは、ベッドメイクの効率化を図る「ホテルリネンワゴン」を開発、販売しており、多くの宿泊施設に導入していただいております。デザインと機能性を兼ね備え、ベッドメイクの業務の課題の解決につながるので、ぜひ一度確認してみてください。