TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

稼働保証率の見直し、客室清掃の内製化など。ホテル清掃のコスト削減方法
2019.10.17 業界コラム

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ホテルの清掃には様々なコストがかかります。ホテルのオーナーからフロアや客室清掃現場を担当するスタッフまで、コストカットに頭を悩ませるホテル業界人は多いかもしれません。
そこでここでは客室清掃における代表的なコストカット方法を6つ紹介し、その方法を導入するときに考えるべきポイントについて解説していきます。

ホテル清掃の代表的なコスト削減方法一覧

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コスト削減にはさまざまなアプローチがありますが、代表的なものは以下の6つです。

方法 概要
最低保証稼働率の見直し 清掃会社との契約を見直し、最低保証稼働率等を再検討してコストカットを図る
清掃業務の内製化
(インスペクションを含む)
それまで外部に委託していた仕事の一部を社員に実行させ、外注費を抑制する
ロボットなど自動清掃機器の導入 清掃ロボット等を導入して人間の仕事を肩代わりさせ、人件費を削減する
ターンダウンサービスの縮小 ターンダウンサービスの規模を抑え、サービスにかかる人件費の節約を目指す
備品交換の省力化 備品交換の手間を省くことで人件費を抑え、かつ備品にかかる費用の負担を減らす
作業の効率化 効率的に客室清掃を行うことで少ない人数での目的達成を実現し、人件費を節約する

上記6項目についての詳細は、以下の項目で1つずつ紹介していきます。

最低保証稼働率の見直し

ホテル清掃の契約には、「実際の稼働率が低くても、最低これだけはホテルから清掃費をお支払いします」という内容が盛り込まれることがあります。
稼働率が低くても最低限の支払いは保証するので、この稼働率を最低保証稼働率等といいます。

仮に最低限保証稼働率が50%であれば、清掃する側は実際の稼働率が50%未満であっても50%分相当の客室清掃料を支払ってもらえるのです。
これは清掃する側が安定的な利益を得られて得な反面、ホテル側からすれば実際に清掃してもらってないのに支払いが発生する損な一面もあります。
ホテルの清掃現場の状況を精査して、非効率な契約条件である場合は見直すことで、コストの削減が達成できる可能性があるのです。

最低保証稼働率を見直すポイント

例えば稼働率が高い場合、最低保証率をアップさせる代わりに1部屋あたりの清掃単価を下げてもらうことでコスト削減に繋がる可能性があります。
実行する前に実際の稼働実績と契約上の最低保証を見比べて、トータルで得になるのか損になるのかを綿密にシミュレーションすることが成功の大きなポイントになるでしょう。

清掃業務の内製化(インスペクションを含む)

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内製化とは、それまで外部に委託していた仕事の全部または一部を自社のスタッフに行わせることをいいます。
社員の負担は増えますが、外注費を削減することができます。

※関連記事:客室清掃は日常清掃。ホテル清掃の定期清掃の種類と外注のメリット・デメリット

清掃業務の内製化のポイント

予め定めておいた時間帯以外に清掃を行ってもらうと、清掃会社から追加料金を請求されることがあります。
このような場合は社員が清掃を担当することで追加料金を抑え、コストの削減ができます。
また、客室清掃後のチェック業務であるインスペクションを外部委託している場合、それを社員に担当させることで外部委託費を節減できます。
社員研修で清掃やインスペクション業務に関する教育を行う必要はありますが、継続的に発生する外注費よりも一時的に発生する教育費の方が低いことが考えられるので、長期的には内製化する方がコスト削減に繋がる可能性があります。

ロボットなど自動清掃機器の導入

自動化の波はホテルにも及んでいます。
ロボット等の導入には一時的に大きなコストがかかるかもしれませんが、長期的には人件費等の削減に繋がる可能性があるので検討する価値があるでしょう。

※関連記事:ホテル×最新技術!IoT、ロボットなどのテクノロジーで、客室清掃員の人材不足は改善できる!

ロボットなど自動清掃機器の導入のポイント

海外にはバス・トイレの使用を自動的に検知し、使用後に洗浄を行うシステムを導入しているホテルもあります。
日本でも掃除ロボットを採用しているホテルがありますが、掃除ロボットが清掃できる部分は限られているので、事前に清掃スタッフが簡単に清掃しなければならないのが実情です。
今後の技術の発展にもよりますが、現状では物の多い客室の掃除よりも廊下等共有スペースの掃除がメインだと考えた方いいかもしれません。
ロボットの導入で人手が要らなくなるわけではなく、あくまで人手が少なくても済むだけであり、最終的には人の目によるチェックが不可欠だと考えてください。
導入にあたっては費用対効果を考えて綿密に検討する必要があるでしょう。

ターンダウンサービスの縮小

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ターンダウンサービスは夕方に客室を訪れてベッドを整え、ベッドスプレッドを外したりスリッパを置いたりするものです。
これを見直すことでコストの削減が実現できる可能性があります。

※関連記事:【ターンダウンサービス・インスペクション】ホテル・客室清掃に関わる基本用語集:2

ターンダウンサービスの縮小のポイント

ホテルによってはメッセージカードや小さなお菓子を置くところがありますが、これを一部取り止めることでコストが削減できます。
また、バスマットを敷く、浴衣を見えるところに出しておく、ハンドタオルを交換する等のサービスを提供しているホテルもありますが、これらを一部簡略化することで1人のスタッフがより多くの部屋数を捌ける可能性が上がり、人件費の削減に繋がることもあるので検討してみましょう。
近年は高級ホテルでもターンダウンサービスを取り止めているところがあるので、そういった部分を取り入れてみてもいいかもしれません。

備品交換の省力化

客室の清掃時に意外と手間がかかるのが備品交換です。
これを省力化することで人件費やアメニティグッズにかかる費用の削減が見込めます。

備品交換の省力化のポイント

未使用のものは回収や交換をせず、そのまま使用しているホテルがあります。
また、2泊目以降の補充はお客様が使用された備品のみとしているホテルもあるようです。
同様に、茶菓子類については2泊目以降の補充をしないケースも見られます。

上記のほかに、アメニティバイキングを実施して備品交換の手間を減らしている事例もあります。
これはロビーにアメニティを大量に置いておき、お客様が自由に持っていけるようにしたものです。
客室のアメニティ交換がタオルと歯ブラシだけになったため、交換時間を6割以上カットできたそうです。
このような事例を参考にしつつ、お客様にとって不便にならない範囲で実施することをおすすめします。

作業の効率化

作業効率を高めることでコスト削減を達成している事例は多くあります。

※関連記事:ホテル客室清掃の効率化には手順が大事!清掃する場所別にポイントをまとめました

作業の効率化のポイント

作業マニュアルを作成し、共有することで作業の効率性が高まります。
写真付きのマニュアルでわかりやすくしているホテルもあるので参考にしてください。
マニュアルは完全なものを目指すとなかなか完成しないので、まずは簡易的なものからスタートさせても構いません。
また、客室清掃に必要な備品類の整理整頓も大切です。
これを徹底することで備品を探す無駄な時間をカットできますし、足りなくなった備品を把握して補充することも容易になります。
なお、効率化を目指すときには「最も時間がかかる部分」を特定し、その改善に努めると効果が高いことも覚えておくといいでしょう。

サービスの質を低下させないコスト削減方法を実施しよう

安易にコストを削減するとサービスの低下を招く可能性があります。
しかしマニュアルの作成や備品の整理整頓といった方法はサービスの低下を抑制しながらコストカットができる方法です。
コストの削減=サービスの低下ではありませんので、コストカットの実施についてはお客様がサービスの低下を感じない方法を取り入れることを忘れないようにしてください。

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